日曜日には、ネーミングを掘る ♯142「ahamoとdocomo」

今週は!

菅首相の肝いりといわれる携帯料金の値下げ。先週、NTTドコモが新料金プランを発表した。

コンセプトは「ニューノーマル時代を切り開くデジタルネイティブ世代にフィットした新料金プラン」。

ネーミングは『ahamo(アハモ)』。

ネット内に生息するアゲアシトリ族からは、早くもロゴマークがamazonのパクリじゃないのか?などと揶揄されているようだが、今回書いてみたいのは、ahamoとこのネーミングのベースともなっているdocomo、それぞれに対する考え方の違いである。

まずahamoであるが、 NTTドコモはこのネーミングに3つの意味を込めているという。

1.「未知の物事を瞬時に理解すること」を意味する「Aha Moment(アハモーメント)」
2.「なるほど」という相づちの英語表現「Aha」
3.「楽しい時にアハハと笑う」感嘆詞としての「アハ」

「アハハ」と声に出して笑う人など生まれてこのかた一人も会ったことないぞ、と突っ込みを入れたくなるが、ともかくキーワードはahaである。ちなみに、私たちの世代にとってahaと言えば、「Take On Me」のヒット曲で知られるノルウェー出身のバンドa-ha(アーハ)を思い出してしまうのだが、『バンド名由来辞典』(こんな辞典があるのだ)によれば、バンド名の由来は「日本語のあっ、そう!(上の2の意味と同じ)」と記されている。

いまにはじまったことではないが、ネーミングの考え方がかなり感覚的、感性的であることはわかっていただけるのではないかと思う。

それに対して、docomoのネーミングの由来は、「Do Communication Over The Mobile Network」(移動通信網で実現する、積極的で豊かなコミュニケーション)の頭文字を綴ったもの。あらゆる場所・場面でお客様に満足していただきたいという全社員の願いと決意が込められている、と公式サイトにある。ahamoと比べて、クライアントを理屈で説得していった様子が感じられる。

NTTドコモの設立は、1991年。いまから30年前である。そういえば、当時はネーミングのプレゼンテーションをする際に、docomoのように英文の頭文字つなぎ系を候補案の1つとして入れていたものだ。こうした理屈を「ほほう、なるほどね」と、ありがたがってくれた時代があったのである。

いまは、たっぷり時間があっても、このようなまどろっこしいやり方はしない。考えてみれば、当時提案していたくだんのネーミング、理屈も英語もかなり出鱈目だった(笑)。

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