今週は!
大瀧詠一が遺した全楽曲のサブスクが解禁になり、早速『A LONG VACATION』をダウンロードした妻が、その日、買い物に行く車の中で流した。通常、このような「昔の曲」を聞く際には、懐かしさ以外の感情はあまりわかない。しかし、このアルバムは違った。
君は天然色
Velvet Motel
カナリア諸島にて
我が心のピンボール
雨のウェンズデー
スピーチ・バルーン
恋するカレン
FUN×4
さらばシベリア鉄道
40年前に発売された楽曲が、いまそこで生まればかりのような輝きと新鮮さをもって胸に響く。以来、その理由がわからないまま、憑りつかれたように繰り返し聞き続けていた。
雑誌『PEN』(4/1発売号)の大瀧詠一特集で、作詞を担当した松本隆が、このアルバムについて語った一文がある。
―『ロンバケ』は、なにかの中心を“突いた”んだろうね。僕も、大瀧さんも意図せず、普遍的ななにかを。
そうか。心を揺さぶられたものの正体はこれだったのか。ようやくボクは合点する。
なにか、とは何か。それは、わからない。なにかは、なにかのままでいい。なぜなら、なにかは感じるものだからだ。
なにかを説明しようとするようになって、世の中はつまらなくなった。
心してかからねばと思う。