今週は!
松山英樹選手が参戦するPGAツアー。今週末からまた新たなシーズンがスタートしているが、二週前には、2020-2021シーズンを締め括るツアー選手権が開催。年間王者の栄冠は、パトリック・カントレーの頭上に輝いた。
“パティアイス(笑わない男)”ことカントレーは、松山選手と同学年。アマチュア時代から将来を嘱望され、世界アマチュアランキング1位に長く君臨したあと、2012年のマスターズでローアマを獲得し、翌年プロ入り。しかし、前途洋々だったはずのルーキーイヤーにアクシデントが起こる。
試合中に「背骨をナイフで刺されたような痛み」が走り、途中棄権。背骨の疲労骨折だった。2年間のリハビリを余儀なくされたが、復活への途中、さらなる悲劇がカントレーを襲う。
自身のキャディも務めていた親友クリス・ロスが、目の前でひき逃げ事故に会い、カントレーの腕のなかで息を引きとる。カントレーがアイスマンになったのは、きっとこうした背景もあるのだと思う。
苦難を乗り越えての年間王者に辿り着いたカントレーの言葉を、松山選手の元キャディ進藤大典さんが紹介している。
「…最悪の事態に陥って、しばらくふさぎ込んだ時期もあったけど、あの暗黒のようなどん底を経験したことで、僕はより良い人間になれたと思う」
「より強い人間」ではなく、「より良い人間」なれたという言葉が、なんとも味わい深い。