変と不変の取説 第50回「エネルギーを失くしたおじさん達の末路」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第50回「エネルギーを失くしたおじさん達の末路」

前回、第49回は「1億2000万人がつくる空気」

安田

ついに消費税が上がりましたね。

そうですね。

安田

日本って社会保険料もすごく高いじゃないですか。しかも年金は出ないとか言われてるし。

ですね。

安田

ネットでは「ふざけんな!」みたいに炎上してますけど。

ネット民は常に炎上してます。

安田

でも現実社会ではデモとか起きないじゃないですか。日本では。

起きませんね。

安田

韓国とか見てるとしょっちゅう起こるじゃないですか。デモとかストとか。

はい。GMは全ストですからね。

安田

昔は日本もありましたよね。学生運動とか。

全共闘とかね。東大講堂に立て籠もってやってましたね。

安田

でも今はまったくないじゃないですか。

少ないですね。

安田

労働組合のデモでさえ、ほとんど誰も参加しないみたいな。

しないですね。労働組合の活性化で、私、呼ばれますから。

安田

え!そうなんですか。もっと組合を炎上させろって?

炎上じゃないですけど(笑)。まあ盛り上げてほしいと。

安田

なんでこうなったんでしょう。意欲がないんですか?あきらめですか?

あきらめと、あとは「かっこ悪い」と思ってる。みんな集まって騒ぐことが。

安田

かっこ悪い?

はい。冷めてるんですよ。「そんなのやっても無駄やし」みたいな。

安田

たとえば韓国は大統領弾劾とかって大勢集まるじゃないですか。

ローソクなんとか、やってますよね。

安田

あっちのほうが健全なんですか?

香港とかでもやってますよね。まあ、過激になったりしますけど、社会運動としては健全なんじゃないですか、デモは。

安田

社会運動としては健全。

はい。ちゃんとルール守ってやるなら。

安田

国民に認められた権利みたいなのもんですか?

そうです。

安田

でも、やらないですよね。日本人は。

やりませんね。

安田

消費増税も議員削減とセットだったじゃないですか。

はい。セットでしたね。

安田

でも守る素ぶりすらない。

まったくないですね。

安田

みんなその事実を知ってるのに、まったく抗議行動とか起こさない。しかも選挙やったら自民党が圧勝するし。この現象は何なんですか?

「生きる力」が弱いんですよ。べつにデモまでして何か変えようと思わない。

安田

エネルギーが弱いってことですか?

「生きよう」というエネルギーが低い。だから陰では書けるけど実際の行動はできない。

安田

もう末期的ですね。

組織活性化で企業に入って個別に聞くじゃないですか。

安田

はい。

そしたらみんな意見をもってるし、言いたいことあるし、不満もある。でも全員集まった場で「どうぞ」って言っても誰も何も言わないです。

安田

「はい」って手を挙げる人はいない?

私が促さないと挙げないですね。たとえば「これについてどう思いますか?」って言うと話し始めたり。

安田

でもみんな自分の中に言うべきこととか不満とかは持ってるわけですよね。

めっちゃあります。でも、みんなで集まると言えないんです。

安田

それは場の空気に押されちゃうとか?

「あきらめ」とか「かっこ悪い」っていう空気に押しつぶされてる感じ。

安田

デモとかストって大きなエネルギーが必要なんですね。

めっちゃ必要ですよ。自分の人生をあきらめず、この国をあきらめず、っていうエネルギーが。そもそも「あきらめてない」っていうのはエネルギーなんで。

安田

じゃあ一定のエネルギー量がないとデモは起こらない?

起こらないですね。

安田

やっぱり末期的なんですかね日本って。もうデモすら起こらない。

末期的ですね。もう完全老化状態です。精神的老化現象じゃないですか。

安田

それは国民の平均年齢が上がってることと関係あるんですか?

関係してるでしょうね。精神的にもどんどん老化してる。

安田

国家として老化してると。

はい。成熟が終わって老化に入ってる。

安田

わたし的には、今は“蛹(サナギ)”の時期で、いずれ孵化して成虫になって飛び立つのかなと思ってたんですけど。

サナギの時期が長いですね(笑)

安田

確かに。10年が20年、30年となってきたら、このままサナギで終わるんじゃないかって気がしてきました。

さなぎ国家(笑)。まあ私はそれが面白くないから色々やってますけど。

安田

純粋な日本人の寿命って、終わりかけてるのかもしれませんね。海外からどんどん人材を迎えて日本人とのハイブリッドを増やした方がいいのかも。

同感ですね。最近ハーフの人の活躍が目立つじゃないですか。

安田

ですね。小さな島国で同じような考えの人が増えすぎて、空気が完全に淀んじゃって、もはや自分たちでは変えれない。

ハイブリッドって、私はすごく大事だと思ってまして。違う文化に出会うっていう。もう1回その時代に来てるんじゃないですか。

安田

もう1回?

明治時代以降バーッと成長したのは、やっぱり違う西洋と出会ったからだと思うんですよ。また新しい何かとの出会いで変わっていく。

安田

自然界ではメスが強いオスを選ぶじゃないですか。

はい。

安田

日本女性は日本人のおっさんじゃなくて、エネルギー溢れる海外の若者とかを選びそうな気がするんですけど。

エネルギーが高い女性は、すでに海外に飛んで出ていっちゃってますよ。

安田

やっぱそうですか。

中学の時のエネルギー高かった女子、全員海外行って海外の男性と結婚してますもん。

安田
やっぱそうなりますよね。でもそうなると日本のエネルギーのないおじさんたちがかなり余っていくんですけど。この人たちを求めて海外から女性が来るとは思えない。
来ないでしょう絶対(笑)
安田
じゃあ日本女子は海外のイケてるエネルギッシュな男とくっついて新たなネオ日本人をつくっていき、日本人のおじさんは淀んだまま滅んでいく?
それが自然の摂理じゃないですか。
安田
悲しいですね(笑)

場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

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