第80回「Tanka fresh.」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第80回  「Tanka fresh.」

年末に資料を整理していたら、聞いたことのある企業が破産していたというニュースをみつけ、驚きました。「Tanka fresh.(タンカフレッシュ)」という青果の鮮度保持剤を製造販売していた株式会社炭化という会社です。


再表2015/114959号(出願人:株式会社炭化)
【発明の名称】鮮度保持剤、その製造方法、気体浄化装置、及び気体浄化システム

商標登録第5918023号(商標権者:同上)
【商標】

【指定商品/指定役務】
炭化物、吸着剤及びその他化学品 など


株式会社炭化の創業者である入江氏は、大手建設会社を定年退職後、佐賀県で2012年に起業。佐賀では、大量の竹林が放置され、大量の竹が整備途中で廃棄されている点に着目し、竹炭を利用した鮮度保持剤「Tanka fresh.」の開発に至ります。
実は、竹炭の鮮度保持剤は既に市場に出回っていましたが、化学品より効果が劣るものばかり。しかし、嬉野茶の三番茶を配合することで、化学品に負けない8日間もの鮮度保持効果を発揮することに成功します。
竹炭は自然素材であり、青果につかっても、安心・安全。しかも、土に戻せば土壌改良剤としても使える。こういった環境へのやさしさも評価され、Tanka fresh.は、ガイアの夜明けに取り上げられ、大ヒット商品となりました。

未来コンパスが指すミライ

さて、Tanka fresh.の事例は、私たちが知っておくべきかと言えば、大いに知っておくべきです。
と言うのも、株式会社炭化は、2020年に破産したからです。
株式会社炭化は、自社商品の質が良く、メディアにも取り上げられ、特許や商標によりビジネスを守る手当てもしていました。
ではなぜ、破産したのか。それは、生産体制が整わなかったからです。メディアの影響もあり生産が追い付かないほどの注文が来ましたが、モノが出ず、支出が止まらず、3期連続で約4000万円の損失を計上し、倒産に至りました。

先ほど、「私たちが知っておくべきか」と書きましたが、特に「私たち弁理士」が知っておくべきケースだろうと思います。自戒の念も込めて書くと、弁理士は、知財を使って「商品」を強くすること/守ることにばかり目がいきがちです。ですが、顧客の「ビジネス」がうまくいかなければ全く意味がありません。
もちろん弁理士が出来ることは限られていますが、ビジネス全体を頭に入れたうえで、知財のサポートをする必要があると強く感じました。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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