第92回「THRASIO」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第92回  「THRASIO」

利用しない日がないほどAmazonヘビーユーザーの私ですが、Amazonを単なる買い物の場として捉えていない頭の良い人たちがいました。Thrasio社です。


国際登録第1589753号(出願人:Thrasio, LLC)
【商標】

【指定商品/指定役務】
電子商取引のブランド及び店舗における投資、未公開株式における新株発行による資金調達、消費者向け製品を特徴とするオンラインによる小売店の業務において行われる顧客に対する便益の提供 など


Thrasio は、Amazon上でトップレビューの商品を販売する中小企業を買収しています。
中小企業がAmazonに参入すると、当初は「作る→売る」でビジネスを完結できますが、いつの間にか顧客管理・広告プロモーション・新製品開発などタスクがどんどん増えていき、処理が追い付かなくなるタイミングが訪れます。このような業務管理に長けたThrasioが企業を買収しつつ、業務を引き継ぎ、
データ分析により収益性を高めていきます。
どの企業を買収しても、同じAmazon上のインターフェースによって運営がされるので、買収後の業務はスムーズそのもの。通常のM&Aで起こりがちな企業統合のロスを最小限にとどめます。
2021年時点で6000社の候補企業を評価し、すでに100社以上を買収していますが、Amazon上には500万以上の企業が存在すると言われているので、成長の余地(=買収対象)は存分にありそうです。

未来コンパスが指すミライ

このビジネスモデルは、楽天市場などの他の物販プラットフォームでも応用可能です。ランサーズやクラウドワークスはどうでしょう。開発・広告・販売をまわす物販と違って馴染みにくいかもしれません。

さて、企業のバイヤー(Thrasio)目線でビジネスモデルを見てきましたが、セラー(被買収企業)側からみると、このビジネスをどう捉えることができるでしょうか。
従来、セラー企業はAmazon上で商品を販売していますが、このビジネスモデルの観点では、企業自体が商品として販売されることになります。言うなれば、Amazonのマーケットプレイスが、商品だけでなく会社をも販売するショールームになっているイメージです。

こう考えると、バイヤーに最も適しているのはAmazonかも知れません。買収したい企業の、売買履歴、売上やキャッシュフロー、製品在庫、出荷状況に至るまで、多くのデータを正確に把握できるからです。
Amazonは、本の通販からビジネスを始め、事業を広く展開してきました。Amazon fresh、Amazon music、Amazon payなど様々ありますが、企業売買を行うAmazon M&Aというサービスがいずれ始まっても不思議ではありませんね。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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