第60回「可〇化」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第60回  「可〇化」

コラムを続けてきて分かったことは、面白そうな技術やビジネスには、業界が違っても共通する着眼点があると言うことでした。そのうちの1つが「可視化」です。

例えば、部屋のクリーン度を計測して点数化する空気清浄機アプリ。気になるけど分からない空気の違いを目に見えるようにすることで、ユーザーの安心感を高め、ストレスを和らげます。尿の成分によって色が変わる猫砂も同様です。飼い主には分からないペットの健康状態が視覚的に示されます。

可視化の別事例を探していたところ、少し違った角度の商品が見つかりました。


商標登録第6287087号(商標権者:GRASSE TOKYO株式会社)
【商標】


【指定役務】絵の具,塗料 精油,香料,ポストカード,はがき,など


香の具とは、エッセンシャルオイルを混ぜた香りのある絵の具です。
9色の絵の具それぞれに異なる香りがあり、それらを混ぜあわせることで新しい香りも生まれます。赤と白を混ぜるとピンク色になりますが、ゼラニウムとユーカリを混ぜるとどんな香りができるのか。そんな好奇心が自然と芽生えます。未知の香りを探す旅と言うと大げさですが、ちょっとした研究をしている気分です。

親として楽しみなのは、娘の思い出に残ること。香りは記憶に直結するからです。
私は、紫色(ラベンダー)をパレットに出した時に、夏休みの失敗談を思い出しました。海でヤケドのような日焼けをした22歳の夏、ラベンダーの保湿剤を使ったことが思い出されました。男子学生3人の寂しい思い出なのですが笑。
娘はいま5歳です。本来この頃の記憶はあまり残らないはずですが、香の具を使ったお絵かきの記憶は定着するかも知れません。将来、似た香りをかいだ娘がこのシーンを思い出す様子を想像すると楽しくなります。

未来コンパスが指すミライ

改めて考えると、この香の具という商品は、香りを色で見えるようにする「可視化」であると同時に、色を香りで表す「可臭化」でもあります。人の五感に訴えるという意味では、「可臭化」の他に「可聴化」「可味化」「可触化」まで思考をめぐらすこともできます。ソニーPS5のコントローラーが、ゲームに合わせて振動するのは「可触化」の一例でしょうか。
皆さんのビジネスでも、見えないもの、聞こえないもの、触れないものを、ユーザーが実感できるようにすると、未だない新しい市場が見つかるかもしれません。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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