第67回「混雑度がわかる発明」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第67回  「混雑度がわかる発明」

半年ほど前のこと。生活を共にしてきた猫を飼えなくなる事情ができ、妻の実家で飼ってもらうことになりました。実家があるのは関西。そこで、コロナが発生して以降はじめて新幹線に乗りました。
二度目の緊急事態宣言下だったため、スカスカだろうと思って自由席車両に乗ったら、ほぼ満席。危うく2時間も座れないところでした。
初めから混雑がわかっていれば、指定席買うのになぁーなんて思って調べてみると、「車両の混雑度がわかる発明」が出願されていました。


特開2021-003972号(権利者:㈱東芝 他)
【発明の名称】情報処理装置、駅務システム、駅務機器、及びプログラム


この発明は、カメラと顔検出プログラムによって、混雑度を割り出します。カメラは、車両の前方/後方のいずれにも設けられているため、進行方向と反対を向いている乗客の顔も捉えることが可能です。
例えば、混雑度をチケット購入画面に映し出せば、乗車時間の変更や指定席の購入という選択が可能になります。混雑度を確認せずにチケットを購入した場合でも、車内ディスプレイに混雑状況が表示されるようになると、「先頭の1号車まで行ったのに乗った場所より混んでいて無駄足だった・・・はぁ~」なんてこともなくなります。

未来コンパスが指すミライ

この発明は、「映像」を混雑度という「情報」に変換する使い方を念頭に置いていますが、個人を特定しない人型のアイコンを使った「映像」そのものを映すという選択肢もあります。こうなると、ユーザーは「隣の人とこれくらい近いのは嫌だな。空いている指定席にしよう」といった感覚的な判断をすることが出来るようになります。
こうした技術を“電車”の中だけにとどめておくのはもったいない。例えば、カフェの売上アップに貢献できないでしょうか。
ユーザーにとっては、リアルタイムに配信される映像を見ることで、店内でするような「混みすぎ」「ちょうどいい」といった判断ができます。お店にとっては、密を避けたい顧客を集客でき、閑散時をむしろ“売り”にできます。

閑散時のようなウィークポイントを“売り”にできるような技術は、まさに知財で保護する価値がある技術と言えそうです。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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