「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第11回 「ハウオリ」誕生秘話 〜「偶然」の連続で生まれた新技術

前回の対談では、その人自身の素材、つまり「もともとの髪質」を活かしたヘアスタイルを作っていた岩上さんが、「そもそも髪質の悩みがなくなれば、もっといろんなスタイルが実現できるのでは?」という考えに至った経緯をお聞きしましたね。

そうでしたね。なかなか『ハウオリ』の誕生までたどり着かずにすみません(笑)。

いえいえ(笑)。さて、そんな『ハウオリ』は薬剤を一切使わないということですが、どうやってそのアイディアが生まれたんですか? 岩上さん自身も仰っていたように、美容室って薬剤を使うのが当たり前なのに。

はい。ちょっとぽっちゃり気味だったのに、ヨガを始められてだんだんシェイプアップしていって、同時に肌もどんどんキレイになっていったんです。その理由をお聞きしたら「食事に気を遣うようになったからだ」と。

平たく言うとそういうことです(笑)。もともと2010年からウチのお店では「パスポート制度」を導入していて。そのチケットを買っていただくと、お店に半年間通い放題になるというものなんですが。

そもそもこのサービスを始めたのが、僕がカットしたお客様が「髪の毛を気にしない暮らし」を実現できているかを確認したかったからで。「素材を活かした髪型」がお客様自身でもちゃんと再現できているのか、こまめにこの目で見て確かめたかったんですよ。

そうそう(笑)。だからお客様が1〜2週間くらいのペースで来店くださるような仕掛けを作りたかったんですよね。で、そのパスポート制度を始めまして、髪の伸び方やカラーの色落ち具合やトリートメントの持ち具合なんかを頻繁にチェックさせてもらっていたんです。

クリーニング屋さんでドライクリーニングってあるじゃないですか。高圧のスチームを衣服にあてることでニオイや汚れを吹き飛ばすことができる技術。同じようなことを頭皮に対して使えるようにした機械があるんです。

そうなんです。『直本工業』さんが製作したものがウチのお店にもあって。その機械を使って新しいトリートメントメニューを作ってみようとしたんですね。ところがしばらくぶりに起動してみたら、電源が入らなくて(笑)。

はい(笑)。それで一応、その機械の説明を聞いていたら、なんだか面白いんですよ。その機械を使う時にお客様の頭にキャップを被せるんですが、それが通常の3倍くらい大きなもので(笑)。言うなれば、頭の上に気球が乗っかっているみたいな感じだったんですよ。

まさに仰るとおりで(笑)。僕は常々、施術をもっとエンターテイメントとかアミューズメントのような楽しいものとして提供したいと思っていて。だからそのちょっと馬鹿げた形状が面白くなっちゃって、結局、その機械を購入しました(笑)。

そうやってある意味「パフォーマンス」要素が多めの施術を、半年パスポートをご利用のお客様相手に始めてみたんです。すると、一度その施術をした方のほとんどがリピートしてくださって。その施術はスチームにトリートメント薬剤を入れてやっていたんですけど、「今までのトリートメントとは全然違う」って。

対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。