「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第28回 コミュニケーションアカデミー、始めます
岩上さんは近々、現在開催されている『提案技術アカデミー』をブラッシュアップさせて、新しいアカデミーを作られるんですよね? 名称はもう決まりました?
今のところ『コミュニケーションアカデミー』にしようかなと考えているんです。…が、名称については安田さんにご相談したいなぁ、と思っておりまして(笑)。
そうでしたか! ぜひ一緒に考えさせてください。
ありがとうございます。『コミュニケーションアカデミー』を始めようと思った時、最初に思い至ったのが、1年くらい前に僕らがやっていた「フェスワーク」という取り組みだったんです。
フェスワーク…それはどういうものですか?
「新しい働き方」をテーマにしたものだったんですが、そもそも働き方には3種類あるんですって。1つ目は「レストラン型」。注文されたものをお客様のもとにお届けするという、いわば基本中の基本な働き方です。
ハンバーガーを注文したお客さんに、勝手にスパゲッティを持っていってはいけない、ということですね(笑)。
そうそう(笑)。2つ目は「バーベキュー型」。お客さんたちが一緒に作ることに楽しさを感じられる、といった働き方です。
せっかくバーベキューに参加しているのに、「いいよいいよ、座ってて~」なんて言われたら、疎外感を受けますもんね(笑)。
ですよね(笑)。でも逆に「レストラン型」で「ちょっと厨房に入って調理を手伝ってくださいよ」なんて言われたら、「客になんてことをさせるんだ!」ってなっちゃいます(笑)。
確かにそうだ(笑)。レストラン型、バーベキュー型ときて、3つ目の働き方はどんなものなんでしょう?
それが「フェス型」です。夏フェスとか野外フェスとかって言いますよね? あの「フェス」って、ステージに立つ演者も、屋台の出店者も、お客さんも、全員が「フェスに参加する」という意識が強い。つまり「フェス型」というのは、基本的に全員が前のめりになっている状態の働き方、というわけです。
なるほどなるほど。一見するとバーベキュー型とも似ている気がしますけど、「バーベキュー型=自分たちで作る」、「フェス型=その場にいる全員で作る」という違いがあるんですね。
そういうことです。プロの味も味わえるし、友達同士でワイワイと分かち合える時間も作れるのが、フェス型の醍醐味だと思っていて。だからそういう働き方をしてみませんか、ということで「フェスワーク」と銘打って。
へぇ~面白そうですね。実際はどんなことをやられていたんですか?
マハロコに併設されているカフェで、参加者のキラーコンテンツを展開してもらいました。飲食店で例えるなら「一番の名物料理を出してもらう」感じです。
ほうほう。なるほど。
さらに美容室のお客様にも「今度こういう人がカフェに来たので応援よろしくお願いします」って声をかけて。それでフェスワークの参加者との間に新たなコミュニケーションの場が生まれて、そこから新しいものが生まれていくというか。
「マハロコ」という場所にいる人たち全員を巻き込みながら、いろんな人がいろんな活動をしていたということですか。まさにフェス的で楽しそうですね~!
半年ほどやったんですけど、すごく楽しかったですね。だから『コミュニケーションアカデミー』にもぜひ「フェスワーク」の要素を取り入れたいなと思っているんです。でもこれを端的に伝えられるようなアイディアがなかなか思いつかなくて…。
なるほど。コンセプトがズバッと伝わるようなネーミングがいいでしょうね。そうだなぁ…たとえば「フェス」をハワイ語にしてみるのはどうです?
あぁ、なるほど、それはいいアイディアかもしれない! 『コミュニケーションアカデミー ○○』という感じで、ここにハワイ語でフェスとかお祭りっていう意味の言葉を入れるわけですね。
そうそう。結局その「○○」の部分が愛称になるというか。「美髪矯正ハウオリ」が「ハウオリ」という愛称で呼ばれているのと同じ感じです。
なるほど~いいですね、それ。早速ハワイ語で調べてみます! 安田さんにご相談してよかったです、ありがとうございます(笑)。
笑。ちなみにこの新しいアカデミーは美容師さん向けになると思いますが、どんなコンテンツを学べるんでしょうか?
ズバリ、「土日を休みにできる方法」です。
なんと! 美容師さんって土日が稼ぎ時なんじゃないんですか?
そう思われているんでしょうけど、しっかりとした売上を確保することができれば、曜日に関わらず「自分の時間」って捻出できるんですよ。
確かに自分のお店を持つならそういう自由が欲しいですけど、実際可能なんですか?
これまでに様々な経営相談を受けてきましたが、ほとんどの美容室って、当日の予約表を見て「今日の売上はいくらだ」って決めてしまうんです。それは皆さん、「お客様に言われたメニューをこなすだけ」だから。
ははぁ、なるほど。普通の美容師さんは、「カット」で予約を入れてくれたお客さんには、「カットだけ」を提供している。だからそれ以上の売上という発想がないわけですね。
そうです。でも僕は、お客様とコミュニケーションをして、もっとキレイになれる要素があれば、カット以外のメニューもどんどん提案する。だから結果的に売上がプラスになることが多いんです。
そんなに大層なこととは思ってないですけどね。いま目の前にいるお客様をさらに喜ばせることができれば、単価も上がりますし、別のお客様をご紹介してくださることも増えるというだけなので。
まさに仰るとおりです。だから極論、「土日休み」でも、平日だけでしっかりとお客様の予約が埋まり、売上も確保できると。そういうことを『コミュニケーションアカデミー』の参加者にはお伝えしていきたいと思っています。
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。