コミュ障経営者のギモン その9「リモートワークの落とし穴“孤独感”とは」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

リモートワークの落とし穴“孤独感”とは

以前、リモートワークについてちょっと書きました。
「皆さんの参考になれば!」って思いましてね。
ところが結果、 フィリピン人スタッフに対する愚痴が大半を占めるという、 経営者として極小の器を披露してしまったわけで。
お恥ずかしい。

ところで、自分を肯定するわけじゃないんですが、「愚痴」 って大事ですよ。

ブツブツ愚痴ることで、自分の状態・ 状況を周囲に知ってもらえますから。
もう立派なコミュニケーションだと思うんですよ。( この時点では一方的ですけどね)
さらに、その愚痴を拾ってくれる人がいたら、 ちょっとした会話が発生しますしね。
相手が「わかりますよ、そういうのありますよね」 って共感してくれたりなんかしたら、嬉しいはずですよ。
誰かが周りに居るのに、 誰もあなたのブツブツを拾ってくれないとしたら、 日頃の行いが悪いのか、 すんごい冷たい人なのかどちらかでしょうね・・・
もしそうなら一度見直してみることをオススメします・・・

ちなみに、僕はブツブツ愚痴るのも好きだし、 誰かの愚痴を拾うのも好きなんですよね。
だって・・・
愚痴る → 自分のことを知ってもらう
愚痴を聞く → 相手のことを知ることができる
・・・ってことですから。
そうすれば、誰も「孤独感」を感じないでしょ?

さてさて、ちょっとリモートワークに話題を戻しますね。
というのも、実は、リモートワークって結構「孤独」なんですよ。
もちろん性に合ってる人もいるでしょうけどね。

僕はフィリピンに3年半ほど住んでました。
その間、 日本法人のスタッフとはリモートでやり取りをしていましたから、 よく分かるんですけど。
彼らの「話についていけない」「空気がわからない」 ってことは日常茶飯事なんです。
これって、めちゃくちゃ孤独ですよ。

例えば、全員参加の会議をやったりして、 画面の向こう側で笑ってたりするんですが、 何が面白いのかこっちは全くわからないんですよね。
誰かの発言にウケて爆笑・・・みたいなのがあっても、 同じタイミングで笑うことはできないんです。
すべての会話をマイクで拾えるわけでもないし、 カメラの視野角は眼球のそれと比べれば随分と狭いですから( さらに自在に動かせるわけでもありませんからね) モニターの向こう側で何が起こっているかわかりません。
上記のような理由から、オンラインミーティング( ビデオチャット)って、リアルタイムではあるものの、 どうしてもある瞬間を切り取ったコミュニケーションになるんです 。
ところが、実際の会話には前後があるわけです。
それらを含めた空気感のようなものをつかんでいないと、 上手くコミュニケーションできないんですよね。 何か言おうもんなら、盛大に滑ったりして。
そして、僕だけその空気感がわからないって状況って、 すんごい孤独なんです。

全体会議の後、「じゃあ、 ケータリングして皆でご飯でも食べよう♪」 ってなったりなんかすると、 楽しそうにしてる日本のスタッフをモニター越しに見ながら、 フィリピンで寂しくピザを食べることになります。
残念ながら、 モニターに映るピザを食ってるおっさんにわざわざ話しかけるスタ ッフなんていません。
目の前に居る人が大事です、やっぱりね。

「よーし、皆で記念撮影しよう♪」ってなって、 僕の映るモニターを囲んで撮影したんですよ。
なかなか、いい感じでしょ?
僕のことを忘れてないんだから♪
後で写真を見たら、モニターの真ん前にスタッフが居て、 僕の顔は見事に写ってませんでしたよ。
もはやギャグを通り越して、悪質な嫌がらせか!? ってレベルでしたよ。
創業者、 代表取締役会長という肩書はモニター越しには全く通用しないって 実感しました。

こんな悲劇が起こるのもリモートです。
実際、便利なんですが、「孤独」 ってキーワードを頭の片隅に置いて、 お互いに意識し合わないと誰かが僕みたいな目に合う可能性があり ますよね。
仮に皆が同じリモートワーク環境だったとしても。
と言うのは、例えばですよ・・・
誰かが「ハァ・・・」とため息をつく。
(=ため息という一方的なコミュニケーションを発生させた)
目の前に居たら、「どうしたの?」ってなりますよね?
(=反応することで双方向のコミュニケーションになっていく)
ところが、リモートだと「ハァ・・・」 ってため息をついたとしても、ビデオチャット(※) ではなかなか気づけませんよ。
かと言って、テキストチャットで「ハァ・・・(←ため息です!) 」って突然書いてくるやつもいませんしね。

※リモートワークの場合、インターネット回線の状況も考慮して、 パソコンのカメラが一定の間隔で自動撮影して画像をアップロード して、 リモートワーカーの状況をシェアするツールを使ったりします。

ところが、 こうした孤独感ってリモートに限って起こることじゃないんですよ 。
実際のオフィスでも誰かが孤独を感じていたりするんです。
リモートの例を参考にするなら、 お互いが発する空気を感じられる距離感というのが重要になってき ますよね。
ここでの空気っていうのは、例えば・・・
ため息が聞こえる、電話の内容が聞こえるってことですね。

僕も日本に本帰国し、 日本法人のオフィスに通勤するようになって、 孤独対策を行いましたよ。
もともとフリーアドレスだったので、 すんごい隅っこに一人ポツンと座って、 見るからに孤独な環境で仕事してるスタッフがいたりしたんですよ ね。
ため息どころか、彼が仕事してるのかどうかもわからない・・・( いや、ちゃんとしてますけどね)
だから、 僕が帰国して始めた仕事はオフィスのレイアウトを変えることでし たw

ついでに、徹底的に掃除もしてね。
やるときは徹底してやっちゃうタイプなので、 高圧洗浄機を買って椅子も掃除したんですよ。
自動車のシートを掃除するときに使う洗浄スプレーみたいなのを使 って椅子を掃除すると、もうね、びっくりするくらい汚いですよ!
洗浄後に固く絞った雑巾で拭くんですけど、 白い雑巾が一発で茶色くなります・・・
皆さんもね、たまには掃除したほうがいいと思いますよ。
すっげー、汚いからw
コロナウィルスも怖いですが、 別のウィルスがガッツリいそうなスーパー不衛生な椅子に座ってい ますよ。

 

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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