第85回 歩くだけで健康になれる?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第85回 歩くだけで健康になれる?

安田
以前、久保さんが「人間の最大の特徴は長距離歩けることだ」と仰っていましたよね。あれから私も考えてみたんですが、歩くってすごい技術だなと。エネルギーも筋力もそこまで使わないじゃないですか。

久保
わかります。すごいですよね(笑)。そもそも人間の足の裏は歩くのに適した形になっているそうですよ。もし「速く走ること」が最優先だったら、こういう足の形になっていないだろうって。
安田
あぁ、確かに走るのが速い動物って、人間とは全然違う足の形をしていますね。かかとの部分が小さいというか…。

久保
そうそう。速く走るために、かかとをつけずにつま先でしっかりと地面を蹴れる形になっているんです。一方で、人間は直立二足歩行ができる足の形に進化した。逆に言えば、そのせいで速く移動することはできなくなったわけです。
安田
確かに確かに。四つ足の動物の足の速さには絶対負けますね。ウサイン・ボルトだって、きっと犬や猫には勝てないと思います(笑)。

久保
ですよね(笑)。つまり人間の足の形は、二足でバランスよく立つことができ、「歩くこと」に特化して進化した。そういう意味で、大したエネルギーや筋力を使わず歩ける、というのは道理なわけです。
安田
なるほど〜。ということは「走ること」って、人間にとってかなり無理なことをしていることになりませんか?

久保
そうだと思います。歩く時は、両足のうちどちらか必ず地面についていますけど、走る時って両足とも浮くじゃないですか。「走る」と「歩く」は、体の動かし方や求められている構造が全く違う。だから「走る」のは、人間の体にとって無理のある動きなんだろうと思いますね。
安田
ふーむ。じゃあジョギングのようにゆっくり走るよりも、サッサと速く歩いた方が、健康にはいいんでしょうか?

久保
個人的にはその通りだと思いますね。実は厚生労働省のサイトにも「歩く」ことが健康にとって非常にいいことなんだ、と書いてあるんですよ。『健康日本21』というページの中の「身体活動・運動」という項目なんですけど。ここには「走るな」とは書いていないですが、「どのくらい歩け」「どういう歩き方をしろ」などわりと細かく書いてありますよね。
安田
本当ですね。それに「1日1万歩」が健康にいいっていうことの根拠も書いてあります。

久保
ええ。人間が健康に活動するためには、1週間あたり2,000キロカロリーを消費することが奨励されている。そしてその2,000キロカロリーを1日あたりの歩数換算すると、大体1万歩になる。これが「1日1万歩」の根拠なんです。
安田
つまり1週間に7万歩ってことですね。そう考えるとやっぱり「歩く」ってずいぶん燃費がいいですよね。だって7万歩も歩けばかなり遠くまで行けますよ。

久保
ええ、むちゃくちゃ燃費がいいですよね。走ったときのような急激な疲労感はまるでないですから。
安田
やっぱり人間は「歩く」ことの専門家なんですね(笑)。でも、歩くのって本当に体にいいことだけなんですかね? 筋トレでもマラソンでも、たくさんやると肩とか膝とかどこかしらに負担があるじゃないですか。

久保
もちろん1日何十万歩も歩いていたらそういうこともあるでしょう。だからこそ「1日1万歩」の設定になっていて、それも成人の方が対象になっている。子どもであれば体作りが主眼になるでしょうし、老人であれば老化を遅らせることが主眼になると思うので、また違った歩数が設定されるはずです。
安田
ああ、なるほどなるほど。それぞれの年代に合わせて適正な歩数があると。

久保
そうそう。それともう1つ、たとえ成人であっても「ある程度健康体である」ことが重要だと思います。
安田
と言いますと?

久保
私自身の話になりますが、10年ほど前に中性脂肪がものすごく高くなっていたんですね。これはまずい、運動しなきゃと思ったんですが、お医者様には「いやいや久保さん、今運動したら死んじゃうからやめなさい」って言われてしまって(笑)。
安田
ああ、運動する前に、運動ができる体にしなきゃいけなかったわけですね(笑)。

久保
そうなんです(笑)。とはいえ歩くことが健康に結びついているのは間違いないので、それぞれの健康状態に合わせて、ぜひ皆さんにも積極的に歩いていただきたいと思いますね。
安田
ちなみに「1万歩」歩こうとすると、通常はどれくらい時間がかかるもんなんでしょうか?

久保
大体10分で1000歩ほど歩けると言われていて、距離にすると700メートルくらいなので、連続で歩けば1時間40分ほどですね。
安田
ふーむ。ということは、途中休憩も入れて、だいたい2時間歩けば1万歩か。…いやぁ、毎日2時間も歩くってなかなか大変じゃないですか?(笑)

久保
現代の生活に慣れてしまっていると、最初は大変に感じるかもしれませんね(笑)。でも本来は1日2時間なんて余裕で歩けるような体の構造になっているので、ぜひ頑張っていただければと思います!

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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