第114回 大手参入をチャンスに変える「逆転の発想」

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第114回 大手参入をチャンスに変える「逆転の発想」

安田

ネットニュースで見かけたんですけど、ローソンが今、お店にクレーンゲームを置いて絶好調らしいですね。「地方のエンタメ拠点を目指す」というコンセプトを見て、これは万代さんのパクリじゃないか、と(笑)。


倉橋

いやいや、そんなことないですよ!(笑) ただ、「クレーンゲーム」というコンテンツ自体の社会的認知度が上がっているのは事実だと思いますね。

安田

ほう、なるほど。ガチャガチャがコンビニに置かれるようになったのは知っていましたが、クレーンゲームを置いているコンビニはまだ見たことがなくて。実際、増えているんですか?


倉橋

少しずつ見かけるようになりましたね。ガチャガチャの市場が飽和状態になっているのかもしれません。日本全国のいろんなスペースがガチャガチャで埋め尽くされましたから(笑)。

安田

本当ですよね! どこへ行ってもガチャガチャ専用スペースがありますもんね。中には結構高いものもあったり。


倉橋

そうなんです。でもそのおかげで、ガチャガチャ市場全体が一気に広がって、誰もが当たり前に遊ぶようになりました。それ自体はすごくいいことだと思いますね。

安田

確かに。昔は子どもだましというか、回してもつまらないものしか出てこないイメージでしたけど、最近は本当によくできたおもちゃが出てきて、大人でもハマっちゃうんですよね。


倉橋

ものすごくクオリティが高くなりましたよね。だからインバウンドの方にも相当人気で。旅行の最後に小銭が余るので、日本のフィギュアを買う感覚で回していくんです。もはや日本のカルチャーの一つとして完全に認知されていますよね。

安田

その流れでクレーンゲームも人気になったと。ともあれ、ガチャガチャもクレーンゲームもコンビニでできるとなると、万代さんとしては結構な脅威ではないんですか?


倉橋

いえ、逆にガチャガチャと同じように、マーケットが広がって「初めてクレーンゲームをやる」人が増えますから、大歓迎です。もちろん、その分僕らが提供するサービスのクオリティは上げていかないといけませんけれど。

安田

ははぁ、なるほど。じゃあトータルで考えれば嬉しいことなんですね。


倉橋

そうですそうです。大手企業が参入すると、市場自体の認知度が大きく上がる。例えばリユース事業でも、メルカリという「黒船」が登場したことで「リユースすること」が市民権を得たんです。

安田

そうか。そういう見方もあるわけですね。

倉橋

リユース市場って、だいたい年間で3兆円くらいと言われてるんですが、メルカリができる前はその半分くらいでしたから。もっとも、登場した当初は「ヤバいサービスが現れた!」とビビってはいましたが(笑)。

安田

なるほど(笑)。でもいま思い返してみれば、マーケットを2倍に広げてくれた立役者でもあったと。…いやでも、やっぱりバッティングする部分もあるでしょう? コンビニでクレーンゲームをやる人は、万代さんのお客さんのターゲットでもあるわけで。

倉橋

もちろんそうなんですけど、「クレーンゲームを知らなかった人が知ってくれる」というメリットの方がずっと大きいので。コンビニでクレーンゲームの楽しさを覚えた人が、「もっと楽しみたいから万代にも行ってみよう」となったら、こちらにはメリットしかない。

安田

ああ、なるほど。だからこそ先程おっしゃっていた「差別化」に注力するわけですね。「コンビニでできるから万代に行かなくていいや」となっちゃダメだから。ちなみに具体的にはどんな仕掛けを考えているんですか?

倉橋

値段の安さにしろゲーム機の数にしろ、全てにおいて勝っていないといけないでしょうね。景品の種類を多くするだけじゃなく、取りやすくするのもそうですし。

安田

なるほど。大手と張り合うには、そのくらいの意気込みが必要だと。でもそこまでいけば、コンビニでクレーンゲームにハマった人は、「こんなに楽しいなら万代の方がいいや」ってなりますよね。

倉橋

それが狙いではありますね。だからこそこの流れを僕は歓迎したいんです。僕らも僕らでそうやってコンテンツのレベルアップに真剣に取り組めて、結果万代のクオリティがどんどん上がるわけで。

安田

確かにそうですよね。ちなみにクレーンゲームって、万代さんの店舗でも人気なんですか?

倉橋

人気です。やっぱり景品が取れた時の嬉しさは格別なんでしょう。ポテトチップスを20袋くらい取られている方を見ていると、本当に楽しそうで(笑)。

安田

へぇ、20袋も! うちも子供も奥さんも好きなので、買い物に行くたびに買いますけど、さすがに20袋は買わないなあ(笑)。

倉橋

そうですよね(笑)。だからメーカーの方にもびっくりされるんです。ポテトチップスが月6万袋とか、オロナミンCを月35万本とか仕入れますから。スーパーの仕入れる量を超えてるらしいです(笑)。

安田

すごいですね(笑)。これはもうエンターテインメントを超えて、「新しい販売チャネル」ですよ!


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

Twitter  Facebook

株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから