第121回 24時間働く社長は、もう古い?

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第121回 24時間働く社長は、もう古い?

安田

先日、Xで「働いて働いて働いてまいります!!!」とポストされていたのがすごく印象的で。たしかプライベートでお食事されている時に、隣の席の方が「万代に行こうか、ライバル店に行こうか」と話しているのを聞いて、思わず名刺を渡したんですよね(笑)。


倉橋

ええ(笑)。居ても立っても居られず、「ぜひ万代に来てください!」と。

安田

いやぁ、なかなかすごい行動力だと思いますよ。私がその立場だったら、「急に社長が出てきたら引かれるだろうな」なんて考えて、たぶん動けないですから(笑)。


倉橋

ライバル店とどっちに行くかをまさに迷っているところだったので、それはさすがに黙っていられないなと(笑)。私は代表であると同時に、「営業のトップ」でもありますからね。気づいたら体が動いていたという感じでした。

安田

すごいなぁ。例えば同じシチュエーションでユニクロの社長が「ユニクロか無印か」で迷ってる声を聞いても、絶対に出てこないと思うんですよ(笑)。


倉橋

いやいや、僕は言うと思いますよ。ユニクロさんに限らず、小売業のトップを張っている人なら、きっと同じことをするんじゃないかな。僕は今でも、街中で万代の買い物袋を持っているお客様を見かけたら頭を下げますし、エレベーターの中なら「ご利用ありがとうございます」と必ず声をかけています。

安田

へぇ! まさに24時間、会社のためになることを実践されているわけですね。倉橋さんには「時間外労働」という概念はなさそうです(笑)。


倉橋

そうですね(笑)。でもそれが社長の仕事だと思っていますから。

安田

なるほど。最近、政治家の方で「働いて働いて」といった趣旨の発言をして、ワークライフバランスの観点からすごく叩かれている件もありましたよね。


倉橋

「時代が変わったな」というのは感じましたね。実際に103万円の壁などもあって、働きたくても働けない状況は確かにある。だから「働いて働いて」という言葉自体が、もう現代においてはナンセンスな言葉、許されない言葉になってしまったんだな、という。

安田

でもそもそもね、あれは自分(政治家)が「党として働くぞ!」と言っているだけじゃないですか。それなのになぜか「国民に長時間労働を強いるのか」と叩かれている。論理が飛躍している気がして。


倉橋

それは私も同意見ですね。そもそも批判しているメディア業界の方々こそ、ワークライフバランスなんてない、めちゃくちゃグレーな働き方をされているじゃないですか(笑)。

安田

そうですよね(笑)。自分たちの業界のことを棚に上げて、という感じがします。

倉橋

ものすごく違和感を感じますよね。結局、ガンガン働きたい人も、ゆっくりしたい人も、自分でちゃんとゴールに合わせて選択できる世の中が一番いいはずです。

安田

私もそう思います。それなのに今は社長が「私自身が働きます」と宣言しただけでも叩かれてしまう。ちょっと息苦しい空気だなと感じますよ。

倉橋

そういう時代だということなんでしょうね。ちなみに安田さんはどんな働き方を意識されています?

安田

私は「24時間仕事であり、同時に24時間遊びである」という感じですね。プライベートな時間に仕事のアイデアが浮かぶこともあるし、仕事中も遊びの感覚でイメージを膨らませたりする。これが人生で最も効率的で、楽しくて、収入も増える生き方だと思っているので。

倉橋

どこからが「ワーク」でどこからが「ライフ」なのか、その境目がもはやないんでしょうね。

安田

そもそも仕事とプライベートをきっちり分けること自体が「不幸の始まり」のように思えて。嫌なことを時間で切り売りするのが仕事、と思っているから辛くなるんです。

倉橋

よくわかります。仕事が面白くなければプライベートも面白くないし、プライベートが充実していなければ仕事も面白くない。両者は密接につながってるんですよね。これ、経営者だけじゃなくサラリーマンの方も同じだと思うんですけどね。

安田

本当にそうだと思いますけど、倉橋さんのサラリーマン時代はどうだったんですか?

倉橋

うーん、お昼休みにきっちり1時間休憩しろと言われて、ちょっと苦痛でしたね(笑)。当時の上司が20分で食事を終えた後、残りの40分間を本当に「何もしない」でじっと黙って休むことを強要されたんですよ。

安田

ははぁ、「今は休み時間だからお前も仕事をするな」と。

倉橋

そうですそうです。「何もしない」のが耐えられなくて、「先に会社に戻ります」と言うと怒られて(笑)。

安田

笑。今は世の中全体がそうですよね。でも本来人生って、楽しいことだけじゃなくて、悔しいことや悲しいこともあるから深みが出るわけで。仕事と遊びもコインの表と裏みたいなものだと思いますよ。

倉橋

同感です。そういう意味では、確かに安田さんの仕事の仕方や遊び方が理想的だと思います。

安田

嬉しいですね。「会社員」という枠組みを超えて、人生そのものを楽しむように働く人が、これからもっと増えていくといいなと思います。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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