第131回 経営者が「合理性」よりも大切にすべきもの

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第131回 経営者が「合理性」よりも大切にすべきもの

安田

今日は「無駄遣い」について話をしたいなと。「無駄なものには一切お金を使わない」っていう徹底した節約家の人っているじゃないですか。生活必需品に使う以外は全部貯金するような。


倉橋

ああ、いますね。

安田

そういう人生のほうが、私にはよっぽど「無駄」に思えるんですけど、倉橋さんから見るとどうですか?


倉橋

まあ生き方は人それぞれですけど……僕だったらおもしろくないかな。

安田

ですよねぇ。世間的には、無駄を削ぎ落としてコツコツ貯金する人のほうが「堅実で立派な人」とされますけど。


倉橋

もちろんそういう堅実さも大事だとは思いますけどね。でも、見たい映画も見ず、食べたいものも我慢して、その分を通帳に残す……それで本当に幸せなのかなと。

安田

うんうん。私なんかはむしろ「豊かな人生とは、できるだけたくさん無駄なことをする人生だ」と思ってるんです(笑)。倉橋さんはご自身の人生の中で「無駄」をどう捉えてますか?


倉橋

うーむ、難しい質問ですね……。でも「無駄がないのは面白くない」というのは確信としてあります。実際、僕も無駄なことをたくさんしていると思いますから。

安田

例えばどんなことをしてるんですか? 高級クラブで豪遊、みたいなイメージは全くないですけど(笑)。


倉橋

笑。接待を伴うようなお店はほとんど行かないですね。それは単に「僕自身が面白くないから」で。20万円も30万円も払って、高いお酒を飲んでも、正直「もったいないな」と思ってしまう。

安田

そこはシビアなんですね。でもブリキのおもちゃやダウンジャケットに何十万円も使うのは「もったいない」と思わない。


倉橋

全く思わないですね(笑)。自分の心が満たされますから。

安田

ははぁ、なるほど。基準は「心が満たされるかどうか」だと。ちなみに海外出張の時には飛行機のファーストクラスに乗ったりするんですか?

倉橋

いや、乗りませんね。ただエコノミーではなくビジネスクラスで行きます。というのも、そのほうが体が楽だから。翌日の仕事に関わるので、そこは「健康投資」としてお金を使います。

安田

リカバリーウェアとか軽いシューズを選ぶのと同じ、「体のメンテナンス」なんですね。

倉橋

そうです。だから僕にとってはビジネスクラスが最適解なんですけど、でももしファーストクラスに乗ることが生きがいで、乗りたくて仕方がないという人なら、それは無駄にはならないと思います。

安田

なるほど。逆に「高いな、もったいないな」と思いながら乗るのが一番良くないと。

倉橋

そうです。心がマイナスになりますから。先日話した「信長の刀」もそうですけど、僕には必要なくても、コレクターが借金してでも買って心が震えるなら、それは素晴らしい買い物なんですよ。

安田

なるほど。「住宅ローンは年収の3分の1まで」とか言われますけど、そういう話じゃないんですね。食事を切り詰めてボロアパートに住んで、無理してポルシェに乗ってる人とか、一見「馬鹿だなぁ」と思うかもしれないけど、本人はすごく幸せかもしれない。

倉橋

そうそう。実はその人が一番豊かなのかもしれない。ニュースで見ましたけど、「推し活」ですべてを使い果たして、路上で寝てる人がいるらしいですよ。

安田

それは究極ですね(笑)。でも本人が幸せならそれもアリだと。

倉橋

それも豊かだと思うんですよ。何百万円もアイドルに捧げて、それがその人にとって一番心地いい使い方なら、他人がとやかく言うことじゃない。ただ、家族がいるのに生活費をそっちに使い込んだらダメですけどね(笑)。

安田

確かに「人に迷惑をかけない範囲で」という大前提はありますね。でもそう考えると、経営者という生き方そのものが、ある意味では無駄の塊かもしれません。

倉橋

ああ、確かに。堅実な人から見れば、休みもなく働いて、リスク背負って、「なんでそんな大変なことするの?」って映るでしょうね。でも僕らはそれが楽しいからやってる。結局、無駄かどうかは自分の価値観次第なんです。

安田

「自分が納得していれば、それは無駄ではない」と。人間って不思議ですよね。合理性だけじゃ生きられない。商売自体が、ある意味では「人生の無駄」を彩るためにあるようなものですからね。

倉橋

そうですね。それを面白くすることが、僕らの仕事なんだと思います。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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