第168回 「悪口、陰口、文句」をなくす方法

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/「悪口、陰口、文句」をなくす方法

某大手さんが内製化している「5年目社員研修」に同席した時のこと。

社内講師のAさんが冒頭に、

「みなさんには、日頃から、『後輩育成や、先輩、上司のサポート』など、自分自身の仕事が忙しいにもかかわらず、あれやこれやと『急ぎの仕事や頼み事』が舞い込んできますよね」

「しかも、『あなたの成長に繋がる経験だから』と。簡単に断ることなど許されない。。」

「そんな日常では、『モヤモヤすること』が多いかと思います」

「今日は、『色々と腹に溜まったものを、全て吐き出してください!』、そのうえで『違った角度、視点から、今後の行動を考えるきっかけ』を掴んでほしいと思います!」

といった挨拶をして、

「職場の現状共有」なるグループディスカッションをはじめました。

「うまくいっていること、困っていること」など、「日頃感じていること」をざっくばらんに語り出す受講生のみなさん。

そこで出てくるのは、

「ウチの職場は、上司が◯◯だからさ、、」

「ウチの上司だって、◯◯やで、、」

「いやいや、ウチとこの新人なんてさ、、」

「そもそも、ウチって次から次へと新たな取組みをスタートさせるけど、継続・定着してるのなんてほとんどないよな」

「とにかく、こんなに忙しいのに、いろんな仕事を押し付けてきてばっかりで、人を増やしてほしいよな、、」

などなど、腹に溜まったモヤモヤを吐き出す、吐き出す。

ひと通り、不平や不満を吐き出し、スッキリとしたところで、「とは言え、課題に向き合わなきゃいかんわな!」と、アイデアを出し合うよう仕向けるのは、研修での常套手段。

今後の行動を考えるきっかけ作りのために、

「どんな感じで『別の視点・角度』などを提供するのかな?」

なんて、思っていたところ。

進行役の社内講師Aさんが、

「みなさん!ちょっといいですか!」

「悪口、陰口、文句、嫌がらせ、などのネガティブな行いの全ては、構ってほしい暇人がやること」

「豊かで幸せな人生を歩んでいる人は、わざわざ他人の邪魔なんてしない」

「仕事かプライベートか、もしくはその両方が絶不調な人間が、アホなことを考えちゃうんです」

「そんなことするのは時間の無駄です。ほっときゃ良いんですよ」

「自分のやりたいこと、やるべきことに集中している人は、不平・不満なんて言ってる暇すらないはずです」

「みなさん、『モノの見方、考え方の視点を切り替えて』これからの行動を考えましょうね!」

と、張り切ったご様子で現状共有を遮るのです。。

参加者のみなさんの、モヤモヤが解消していることを祈るばかりでした。。

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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