第239回 予定調和な寸劇?

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/予定調和な寸劇?

 

「こんなリーダーはイヤだ(NGなリーダーの振る舞いは?)」という問いが、某大手さんの「マネジメント研修」のディスカッションにて講師から投げかけられました。

受講生である「課長層の方々」は、スラスラと、

・自分勝手、自己中
・頑固すぎる(他人の意見に耳を貸さない)
・短気すぎる
・暴言を吐く
・人によってあからさまに態度を変える
・高圧的、偉そう
・感謝しない
・責任を押し付ける
・手柄を横取りする
・自分以外の意見を否定しまくる、粗探しばかりする
・陰口を言う、悪口ばかり言う
・方向性を示さない、発信しない
・決断力がない

こんなようなコメントを次々にあげていきます。

「それって◯◯部長のこと?」

「うわっ、、△△常務のこと言うなよ!」

「でも『実際の上司』たちをイメージしてみると出しやすいよな」

などと、

「くれぐれも実名はあげないでくださいね」との講師からの注意など気にも止めずに、まあ小声ではありますが、盛り上がっています。。

すると、どなたかが、

「これってさ、『ダメなリーダー』をあげろって問いやろ?」

「でも、オレらが挙げているのって、、単なる『イヤな奴』のことよな」

などと言い出すのです。

「確かに!ここに挙がっているような人は、上司だろうが、部下だろうが、新人だろうが、付き合いたくないよな、、」

と別のどなたかが続きます。

すると、F講師は満足気な表情で、

「そう。皆さんには『NGなリーダーの条件』を聞いたのですが、、」

「皆さんが挙げてくださったのは、『一緒に働きたくない人間の条件』のように、『イヤな人間の振る舞い』を挙げてくれているんですよ」

「だとすると、、」

「皆さんがこれから管理職として『リーダーシップを発揮』するのだったら、、」

「これらの『逆の振る舞い』をすればいいってことですよね?」

としたり顔で受講生たちを見回します。

続けて、

「皆さんの挙げてくれていた中では、主に3つ、『リーダーとしての役割を放棄』している振る舞いがあるんですが、どれだと思いますか?」

と投げかけますと、

「確かに、

・方向性を示すこと
・決めること
・責任を負うこと

は、リーダーの役割ですよね、、」

と回答する受講生さんたち。

F講師はというと、もはやご満悦なご様子。

以上、一部分だけをカットして共有させていただきましたが、企業研修って、「お題と脚本」があって、その「シナリオ通り」に動いてくださる「キャスト」がいるような、そんな「予定調和な寸劇」にも見えなくはないのですね。。

(あくまで、一部分だけをカットして観た場合でございます。悪しからず、、)

 

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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