このコラムについて
「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。
本日のお作法/非常識のススメ
少子化の時代。
子どもの数は減り続けているのに、成長が止まらない「子ども用品専門店」があります。
そんな「非常識を体現」しているのが「西松屋」さん。
先日も「30期連続の増収」を達成したことが話題になりましたが、 改めて同社の「逆張り戦略」に思いを巡らせてみました。
◆郊外のロードサイドにこそ、勝機あり!
同社のすごさは、何より「立地の選び方」にあるのかと。
普通なら「人口が減るエリアは避けよう」と考えるのが常識です。ですが、西松屋は「少子化が進む地方や郊外」という「逆を選ぶ」のです。
郊外やロードサイドは、家賃が安く、土地に余裕もあります。そこに自社PBを組み合わせることで、「低コスト・高収益の店舗運営」を可能にしているのです。
大型商業施設内への出店に頼る「競合とは違う土俵」を選び、結果として、じわじわと「その差」を広げてきたのです。
◆回遊させない、迷子にさせない
また、もうひとつ感心させられるのが、店内の「動線設計」。
西松屋に入ると、棚は一直線に並び、端まで行かないと隣の棚には移れません。
スーパーや一般の小売店でしたら、客を店内で「ぐるぐると回遊」させて、「『ついで買い』を増やすのが常識」とされます。
ですが、またしても西松屋は違うのです。
回遊させないことで、子どもが迷子になりにくい。もし迷子になっても、すぐに見つけやすい。
「親のストレス」が減るだけでなく、「店舗スタッフの負担」も減る。
効率を捨てて、安全と安心を取る。
目の前の「親と子」に寄り添った結果の、「逆張り動線」なのです。
という素敵な気づきを「西松屋さんの競合」のマーケターさんから伺ったのであります。
「効率」だけを追わず、「マニュアル」に縛られることもない。「目の前の暮らし」と、「現場の声」を徹底的に聞き続ける。
同社の継続成長は、この「非常識を恐れない現場目線」があったからこそだと感じるのです。