第21回 Refineショップ成功の秘訣は「お客様の物語」への共感力

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第21回 Refineショップ成功の秘訣は「お客様の物語」への共感力

安田

Refineショップ」のお仕事ってすごく魅力的ですよね。体力的にも精神的にも健康でいられるお仕事なんだろうなと。


望月

そうですね。手前味噌ではありますが、本当にいい仕事だと思います。

安田

とはいえどんなにいい仕事でも、万人に合う仕事はないとも思うんです。ブラック企業のような、万人にとって嫌な仕事はあるかもしれませんけど(笑)。


望月

なるほど(笑)。それは確かにそうかもしれません。

安田

この仕事がどんな人に向いていて、どんな人に向いていないのか。そこを今日は深掘りしていきたいなと。Refineショップで楽しんで働ける人ってどんな人なんでしょう?


望月

それでいうと、まず「一人の時間が苦にならない人」じゃないと続かないでしょうね。いつも皆でワイワイしていたい人には向かないかもしれない。

安田

なるほど。逆に「一人でコツコツ作業をしたり、静かに本を読んだりするのが好き」というタイプには合っていそうです。むしろ「人に囲まれたり賑やかな環境にいたりするのがストレス」くらいの人の方がいいかもしれませんね。


望月

そうそう。かといって人が嫌いな人だとちょっと難しいんですけど。

安田

それはそうですよね。一人の時間が長いとは言っても、基本は接客業ですからね。


望月

ええ。お客様がご相談にいらっしゃったら、親身にお話を聞いてあげられる。それが苦にならない人だといいんじゃないかな。

安田

なるほどなるほど。お喋り好きというより、聞き上手なタイプですよね。あまり自分からガツガツ行く人だと、ちょっと違うような。


望月

ああ、それはそうかもしれませんね。

安田

前に聞いた話なんですが、看護師さんもそうみたいですね。素人考えだと、ホスピタリティに溢れていて自分から積極的にお世話しにいくような人の方がいいように感じますけど、実際はそういう人だとむしろ患者さんに負担がかかっちゃうんですって。


望月

ああ、なるほど。でもちょっとわかる気がしますね。世話焼きが過ぎると、むしろ迷惑になっちゃうわけですね。

安田

そうそう。だからリファインの仕事も、自分のことを少し俯瞰で見れるくらいの人の方がいいかもしれません。ちなみに絶対に必要な資格みたいなものはないんですか?


望月

特別ないんですが、「ジュエリーに全く興味がない」という人は難しいかもしれませんね。「お客様がなぜリフォームや修理をしてまでそのジュエリーを使い続けたいのか」という一番大事な部分がピンと来ないでしょうから。

安田

そりゃそうですよね。とはいえジュエリーって、若い人からするとちょっと敷居が高い気もするんです。そういう意味では、「アクセサリーに興味がある人」くらいでもOKにした方がいいかもしれません。


望月

ああ、それでも全然いいと思います。今働いてくれているスタッフの中にも、そういう人は多いですから。ちなみに自分でアクセサリー作りをしている人もいますよ。

安田

へぇ〜、それはすごい。ちなみに「ファッションに興味がある」まで行くと、ちょっと幅を広げすぎですか?

望月

うーん、そうですね。広げすぎというより、微妙に路線がずれる気がします。単に販売するだけではなく、加工や修理のディレクションがメインなので、「作ることが好き」という人の方が向いてるんじゃないかな。

安田

なるほどなるほど。極端な話、「宝石は大好きだけど作ることには興味がない」という人よりは、「宝石はそこまで興味がないけど作ることは大好き」という人の方が合っていると。

望月

そうですそうです。そういう人はすごくいいと思いますね。というのも宝石、というか石が好きすぎても難しいなと思うことがあって。世の中には「石が好きな人」ってけっこういるんですよね。石そのものに興味があって集めているような方が。

安田

ああ、私も一緒なのでよくわかりますよ。

望月

ああ、そうなんですね(笑)。石が好きなのは大いにけっこうだと思うんですが、石へのこだわりが、かえって商売の邪魔になる場合があるだろうなと。この仕事はあくまでお客様の要望を叶えるためにあるので。

安田

あ~、なるほど。ちょっとマニアックすぎると、「それよりこっちの石の方がいいですよ」なんて口出ししたくなって、逆に向いてないわけですね。そう考えると、「一般的なおしゃれとしてアクセサリーに興味がある」くらいがちょうどいいのかもしれない。

望月

まさにそんな感じです。この仕事って、「お客様のご要望をしっかり理解して、最適な提案をする」ことが求められますからね。そのためにも、まずはお客様の気持ちに共感できることが大切で。

安田

なるほど。とはいえ営業マンじゃないから、売り込みが上手じゃなくても問題ないんですね。それよりもお客さんの体験や想い、つまり「物語」に共感ができるようなタイプが向いていると。

望月

仰るとおりです。もう少し詳しく言うと、修理とリフォームでは接客の質も少し異なるんです。修理は確実さが重要ですが、リフォームはお客様の理想を形にするためのイメージを提案することが求められます。

安田

そうか。リフォームの方が、より共感が大事になってくるんですね。その上で、お客さんの「物語」をどう形にしていくかを考えるとなると、やっぱりアクセサリーやものづくりが好きな人が向いているんでしょうね。

望月

あとはやっぱりジュエリーを扱っているので、ご自身の見た目も大事ですね。もちろんめちゃくちゃオシャレじゃなくてもいいんですが、外見に気を遣っているということは必要かなと思います。

安田

ふーむ、なるほど。でも中には厳つい職人さんが自分でやっている店もありそうですけど。

望月

あるにはあるんですが、そういうところは修理がメインなことが多いですね。

安田

ああ、確かに。修理なら職人さんタイプでも全然いいかもしれないけれど、リフォームの相談で「こんな風にしてほしい」ってお願いするなら、もう少し話しやすそうな人がいいなぁ(笑)。

望月

そうなんですよね(笑)。お店を運営するという意味では、技術よりもむしろ共感性の方が大切だと思います。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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