庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第119回 庭師が教える、木の根と土の深い関係

木の生命力ってすごいと思うんですよ。例えば切り株みたいに上は何もなくなっても、根っこさえ生きていればまた芽が出てきたりするじゃないですか。そう考えると、土の中に埋まっている根っこの部分こそ本体なんじゃないかという気がして。

仰る通り、かなり気を遣いますね。土地の水はけが悪いと、根が腐ってしまう「根腐れ」を起こして、うまく根づかないということも多くありますから。もともと田んぼだったところを埋め立てて宅地にしたような土地だと、そもそも土が粘土質だったりもするんです。

そういうことです。ただ一概には言えなくて、本当に場所によるんです。例えば関東は関東ローム層といって、どこを掘っても結構サクサクなんですよ。よく千葉とか茨城で地震があると電柱が傾いたりしますけど、あれは土が柔らかいからなんです。

畑の土、いわゆる黒土も売ってはいるんですけど、あれはすごくお金がかかってしまうんですよ。なので僕の場合は、山の砂を買ってきて、そこに肥料を混ぜてオリジナルの土を作って植えてます。

人間の感覚からすると、目に見えない部分が木の本体であるって、不思議な感じがしますけど。まぁ構造的に考えれば、根がしっかり張れていないと倒れちゃうわけで、そりゃ一番大事だよねというのもわかります。

ああ、なるほど。じゃあ中島さんがよく選ぶ「成長が遅い木」は、根の伸びも遅いわけですね。ちなみに先ほど出ていた「ふかふかの土」の件ですが、やっぱり素人の感覚だと、柔らかい土だと木も倒れてしまいそうな気がするんですけど…

それでいうと、植えた直後は隙間が空いている状態なので、植えてから固める作業をします。「水締め(みずじめ)」というんですが、木の周りに土手を作って、そこに水をたっぷり溜めてあげるんです。そうすると春から夏にかけてぐんぐん根を伸ばしていくんですね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















