第33回 天然塩ならいくらでも食べてOK?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第33回 天然塩ならいくらでも食べてOK?

安田
先日SNSで、あるドクターが「日本人は圧倒的に塩が足りていない。塩さえ摂っておけば健康になるんだ!」と言っていたんですよ。その理由を読んでみると、要するに「工業用に作られた塩(NaCl)ばかり摂っていて、天然の塩の摂取量が足りていない」ということのようで。これはもう、ぜひ久保さんにお聞きしなくてはと思いまして(笑)。

久保
なるほど、興味深い話題ですね。
安田
そもそもNaClと天然塩は何が違うんでしょうか?

久保
NaClというのは工業用、つまり人工的に作られた塩で、純度99.9%の塩化ナトリウムのことですね。食卓塩なんかもこれですが、要は戦後、国が効率よく塩を自給するために作り始めたものです。
安田
ははぁ、なるほど。一方、天然塩は塩田で海水を乾燥させて作るものを指すんだと思いますが、天然塩にも塩化ナトリウムは含まれてますよね。

久保
ええ、もちろん入っています。ただ人工塩と決定的に違うのは、ナトリウム以外の様々なミネラルが入っている点です。代表的なのはカリウムですね。人間の体内ではナトリウムとカリウムがとても大事な役割をしているんですよ。
安田
はるか昔に学んだ気がしますが……全く覚えてないです(笑)。

久保
笑。以前、安田さんに『血液栄養分析ワークショップ』を受けていただきましたよね。そこで、「体の中に入った栄養は血液内に取り込まれ、毛細血管を通って各細胞まで運ばれる」とお伝えしていたかと思います。
安田
はい、覚えています。栄養が赤血球に乗って体の隅々まで運ばれるんですよね。

久保
そうです。ではその栄養が血管からどうやって各細胞に入り込むのかというと、ナトリウムとカリウムが重要なカギになっているんですよ。
安田
ほう、重要なカギですか。

久保
ええ。細胞の外側にはナトリウム、内側にはカリウムが、それぞれ一定量含まれています。その比率が正常であれば、浸透圧によって栄養は細胞の中に入り、老廃物は細胞の外に出されます。
安田
へぇ! 浸透圧のおかげで、細胞の中と外で物質の行き来ができるわけですか。

久保
ええ。逆に言えば、その浸透圧のバランスが崩れれば、栄養の運搬がうまくいかないわけです。冒頭のドクターが仰っているのも、「ナトリウムだけじゃなくカリウムも一緒に摂らないとダメなんだよ」ということだと思いますね。
安田
なるほど。ちなみに、カリウムが足りなくて浸透圧がうまく働かなかった場合、運ばれてきた栄養はどうなってしまうんです?

久保
最後のところで「受取拒否」されてしまいます。せっかく良いものを食べて消化しても、細胞が受け取れなければ意味がないですよね。
安田
それはもったいない(笑)。人工塩ばかり摂取していると、そういう事態になりかねないということですね。

久保
そういうことです。一方、天然塩にはしっかりカリウムも含まれているので、人工塩のように極端な「ナトリウム過剰」の状態にはなりにくい。
安田
なるほど、バランスのいい塩だということですね。ちなみにカリウムは天然塩以外からも摂取できるんですか?

久保
ええ、緑黄色野菜や海藻類にも含まれていますよ。ただどちらも最近の人はあまり食べなくなってきていますよね。そういう意味では、「食卓塩でナトリウムをせっせと摂っているのに、カリウムの摂取量は減ってきている」と言えるんじゃないでしょうか。
安田
ふ〜む、そうなんですね。そういえば先ほどのドクターが「塩を極端に減らして薄味のものばかり食べていると、逆に体調不良になる」というようなことも言っていたんです。これについてはどう思われます?

久保
私も塩はしっかり摂るべきだと思いますね。天然塩であれば1日10gくらい摂っても全く問題ないと思いますよ。
安田
へぇ、そうなんですか。となると、「薄味の食事のほうが健康的」というのは迷信ってことですかね。

久保
よいお塩ならしっかり摂っても問題ない、ということですね。一方で、いま仰った「薄味」という表現にも注意が必要で。
安田
と言いますと?

久保
化学調味料は塩味や甘さを感じにくくする作用があるんです。たとえばコーラの500ccボトルの中には砂糖が約60g、スティックシュガーにすると2〜30本分も入っています。
安田
えっ、そんなに入っているんですか?!

久保
ええ、そうなんです。でも、実際に飲んだ時はそんな風には感じないでしょう? これが化学調味料の怖いところなんです。仮に普通の水にスティックシュガーを30本入れて飲んでみろ、と言われても、そんなの甘すぎて飲めませんよね?
安田
確かに……。

久保
同じく塩味も、化学調味料が入ることで感じにくくなる。つまり味覚的に「薄味」のものでも、実はすごい糖分や塩分が含まれていたりする。この点には注意が必要だということです。
安田
なるほど、そういうことなんですね。あ、でも、含まれているのが天然塩であれば問題ないんじゃないですか?

久保
まぁ、理屈ではそうなんですけれど。ただ、化学調味料をたっぷり使うような製品に、コストの高い天然塩は多分使わないですよね(笑)。
安田
確かにそうか(笑)。ところで以前教えていただいた『ナゴミソルト』。あれから毎日のように使っているんですが、こちらにもミネラルは入っていますよね。

久保
もちろんです。通常の海塩よりもさらに豊富に入っています。というのも、以前お話したように、このナゴミソルトは竹を燃やして作っています。ですから竹に含まれるミネラルまで全て入っているんですよ。
安田
よかったです。ご興味のある方は、ぜひこちらのサイトからご注文されてみると良いと思います!

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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