庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第126回 温暖化で変わる、庭木の「水やり」の新常識

人間って勝手なもので、雨が降ると「嫌だなあ」なんて思いますけど、植物には欠かせないものですよね。かといって、水はけが悪くて常にグジュグジュだったら、植物にとっても悪いわけじゃないですか。そのあたり、庭づくりの際も気にされるものですか。

なるほど。重力に従って道路へ流すと。でも中島さんが作る庭って、結構起伏があるじゃないですか。あのデコボコした地形での水の流れを計算するのって、かなり難しいような気もするんですけど。

ああ、いえ、むしろやりやすいです。植物は基本的に水はけがいい環境を好むので、できるだけ土を盛って高くした場所に木を植える。そうすれば自然と排水の流れができて、余計な水がたまる状況を避けられるので。

ふ〜む、でも水はけを良くしすぎると、逆に雨が降らない時期にカラカラに乾いて枯れてしまったりしないんですか? 植木鉢だったら人間が毎日水をあげられますけど、地植えの庭木は基本的に自然の雨任せですよね。

植えてから3、4年も経てば、木は地中深くまで根を伸ばしているので、表面の土が乾いても地中の水分だけで十分生きていけるんです。もっとも植えたばかりの時期は少し気をつけて管理してあげる必要があります。最近の夏は異常な暑さですし。

全然違いますね。昔ならそれこそ「地植えした木は雨任せで大丈夫」と言えたんですが、今の夏場は、1週間雨が降らない日が続けば木にかなりダメージがあるんです。そういう状況にならないよう、お客様にホースでの水やりをお願いすることもありますね。

重要なのは「時間帯」と「水温」です。まず、日中の暑い時間帯には絶対に水をあげてはいけません。レンズ効果で葉っぱが焼けてしまいますし、ホースの中に残っていた水が熱湯のようになっていることもありますから。

ええ。もう「茹で野菜」を作るようなもので、木は枯れてしまいます。なので、夕方の涼しくなった時間帯に、ホースの中の熱いお湯を出し切って冷たい水になってから、根元にたっぷりあげるのが正解です。葉っぱにかける必要はありません。

ええ。盛り土の部分は、ただバシャッと水をかけただけだと表面を流れて終わってしまいます。なので、時間をかけてゆっくりと染み込ませるようなイメージで水をあげてください。そうすれば地中の根までしっかり水が届きます。

水やり一つとっても、なかなかに繊細なコントロールが必要なんですね。一方で、日本には梅雨みたいに毎日降る時期もあれば、真夏のように全く降らない時期もあります。庭の設計としては、どちらの季節に合わせて調整しているんですか?

一番枯れるリスクが高い「夏」に合わせて調整します。冬は木も休眠していますし、乾燥していてもそこまで水分を必要としません。夏場の乾燥を防ぎつつ、大雨が降っても水没しないようなバランス、それが今の日本の庭づくりには求められていますね。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















