第128回 夜の庭を「リビングの延長」にする照明の魔法

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第128回 夜の庭を「リビングの延長」にする照明の魔法

安田

中島さんの手がけるお庭を見ていると、地面の低い位置に陶器やアイアンでできたおしゃれな照明が設置されているのをよく見かけます。公園にあるような背の高い街灯ではなく、あえて低い位置にポツンと置かれてるのが風情があっていいんですよね。


中島

ありがとうございます。庭全体を昼間のように照らすよりも、自然な陰影を楽しむ空間にしたいなという思いがありまして。

安田

へぇ、なるほど。だから照明の色も真っ白すぎないないんですね。


中島

ええ。ぼんやりと明るい「温かみのある電球色」を選んで、木を下から照らしたり、アプローチの足元を照らしたり。

安田

日本庭園のライトアップに近いイメージですよね。でも個人の家の庭で木をライトアップするなんて、昔はあまり考えられませんでしたよね。贅沢な感じがするというか。


中島

そうですね。でも最近は、予算を組んでしっかり照明を入れるお客様が増えています。夜、リビングのカーテンを開けた時に、ガラス越しにライトアップされたお庭が見える。それだけでリビングが広く感じられますし、豊かな気持ちになれるんです。

安田

ああ、確かに。夜は真っ暗だとカーテンを閉め切ってしまいますが、庭が明るければカーテンを開けて過ごすのもいいですね。でも木を照らすとなると、木の成長に合わせて照明の位置も変えないといけないんじゃないですか?


中島

仰るとおりです。木の成長だけでなく、時には「ちょっと雰囲気を変えたいな」と思うこともありますよね。なので、地面に挿すだけの「スパイク式」のライトを採用しています。

安田

ほう、スパイク、つまり地面にブスッと挿すだけのやつですか?


中島

そうです。コードに余裕を持たせて施工してあるので、半径1.5メートルくらいなら自由にお客様自身で位置を動かせるようにしてあるんです。木が大きくなったら少し離したり、角度を変えて影の出方を調整したりと、自分好みの夜景を作っていただけます。

安田

それはいいですね! 素人でも簡単にできるんですか? 変なところを照らしてしまって、せっかくの庭が台無しになったりしないでしょうか(笑)。


中島

大丈夫ですよ(笑)。最初に大体の位置を決めて設置しますから、あとはそこから微調整する感覚で楽しんでいただければ。外から庭を眺めながら、「もうちょっと右かな」なんて動かすのも楽しいと思います。

安田

いいですね。ちなみにリビングから見える範囲の庭だと、大体いくつくらいの照明を置くのが一般的なんですか?


中島

庭の広さにもよりますが、僕の自宅の場合は、木を照らすスポットライトが3台と足元を照らすポールライトが2台です。それだけでも十分雰囲気は出ます。

安田

照明を設置しておいても、付け忘れてしまったらもったいないですよね。そのあたりはどうしてるんですか?


中島

今はセンサーとタイマーが優秀なので、暗くなったら自動で点灯して、そこから設定した時間が経ったら自動で消えるようになっています。寝静まった深夜まで照らしておく必要はないので、5時間ぐらいで十分だと思います。

安田

そんな機能が付いてるなら手間いらずですね。普段太陽の光は上から降り注ぐのに対して、夜は下から光が当たるとなると、表情がガラッと変わって面白そうです。

中島

そうなんです。夜に下から光を当てることで、葉の重なりや枝ぶりが昼間とは全く違う幻想的なシルエットを見せてくれます。

安田

なるほどなぁ。予算の都合で照明を削ってしまうケースもあると思いますが、個人的には絶対に外してほしくないポイントですね。

中島

そう思います。昼の庭と夜の庭、一つの庭で二つの景色を楽しめるのが、照明を入れる一番のメリットですから。ぜひ夜の庭での時間も楽しんでいただきたいですね。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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