第133回 気候と土壌を見極める、適材適所の庭づくり

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第133回 気候と土壌を見極める、適材適所の庭づくり

安田

以前、岐阜は特殊な土壌で、土を入れてあげないと木が育たない、ということを仰ってましたよね。


中島

そうですね。中には柔らかい土もあるんですが、比較的砂利のような土が多くて。

安田

それと同じように、土地によって土壌や気候が全然違うわけですよね。中島さんは岐阜だけでなく、全国に出張してお庭を作ることもあると思うんですが、木の選び方や植え方も土地によって変化するんでしょうか。


中島

結構変わりますね。特に関東の方は土がいいですね。少し前に横浜で庭づくりをしていたんですが、畑に使うような土でした。

安田

ああ、関東ローム層ですね。栄養分が豊富なんですよね。


中島

そうですそうです。あと土自体もサクサクしていて扱いやすいんです。

安田

なるほど。そうすると関東だと岐阜よりも選択肢が広がるわけですか。例えば岐阜では植えられないような木が植えられたりとか。


中島

そうですね。関東圏であれば、もともとの土壌を気にせずに自由に木を選べると思います。とはいえ、土を変えさえすれば同じように育つので、ほとんどの木は日本のどこでも植えられますよ。

安田

ああ、そうなんですね。ちなみに海外はどうなんでしょう? 以前出張に行かれていた中国はどうでしたか?


中島

中国も割といい土でしたよ。ただ、植える木によっては逆に育ちすぎてしまうこともあるので注意が必要で。例えば松は栄養の少ない土の方が適しているので、黒土に植えてしまうと伸びすぎてしまうんです。

安田

は〜、なるほど、そういう木もあるわけですね。ということは、関東でも成長しすぎて困ることがあるんですか?


中島

そうですね。場合によっては成長の遅い木を選んだりして調整します。

安田

へぇ、そうなんですね。ちなみに他の地域はどうですか? 日本は縦に長いから、北海道と九州だったら気候も土壌も全然違うわけじゃないですか。選ぶ木も大きく変わってくるのかなと思うんですが。


中島

落葉樹はそこまで寒暖差による違いはないんですが、常緑樹は寒さに弱いんです。だから常緑の南の方の木を、北海道など育てるのは厳しいですね。逆に、岐阜で白樺を植えても暑さで育たない。高山や飛騨の方なら涼しいので大丈夫なんですが。

安田

なるほどなるほど。同じ都道府県でも標高などで違うってことですね。ちなみに出張の時は、現場に到着してからお庭の土の状態を見るんですか? 土壌がどういうものかは掘ってみないとわからないですよね。


中島

ある程度は表面の土を見ればわかりますよ。分譲地だとぬかるんだりしないように山砂が敷かれていることもありますが、その場合はそこの土は使えないので総入れ替えになります。

安田

へぇ、掘らなくてもわかるものなんですね。ちなみに総入れ替えの場合、金額でいうとどのぐらいかかるものなんでしょう?

中島

もとの土を捨ててから新しく土を入れ替えるので、1㎥当たり3万円ぐらいはプラスになりますね。もっとも、都道府県によって土の相場が微妙に違うので、現場ごとにしっかり見積もる必要はありますが。

安田

そうなんですね。ともあれ、そうやってしっかり土壌を整えてその土地にあった木を選ぶことで、地域とも調和すると。その一方で、適応しすぎると大きくなりすぎることもあるから難しいですけど。

中島

そうですねぇ。まあすべての木が大きくなりすぎるわけではないですけどね。

安田

枯れてしまったら困るけど、木にとって快適すぎる環境も人間にとってはよくない場合もあるということですね。木にとってはちょっと栄養が足りないくらいの方が、お庭としての完成度は高くなったりして。

中島

ケースバイケースですけどね。例えば伸ばす速度を早めるために、樹木の材料屋さんが畑で肥料をあげることもありますし。ただやはり栄養を与えすぎると人工的に見える不自然な伸び方になってしまうんですよね。そういう意味では、山の自然くらいがちょうどいいと思います。

安田

なるほどなぁ。自然に近い形の樹形にするには、甘やかしすぎてもよくないということですね。


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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