庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第53回 お庭の使い勝手が暮らしに与える影響

direct nagomiさんのお庭づくりでは、「家の雰囲気と合っていること」「住んでる人がリラックスできること」の他に、「使い勝手がいいこと」も重視されていますよね。

そういうことです。あるいはリビングから続くテラスがある場合に、人や車の通りが多い道路に面していないかどうか、なども考えます。せっかくテラスを作ったのに、あまりに車通りが激しいと、騒音でリラックスできないんです。だから庭を作る際に壁を作って、音や振動を遮るようにすることもありますね。

そういう場合もありますが、できるだけ木を植えて目隠しをしますね。ただ、大きく育ちすぎる木を植えてしまうと、成長した時に今度は邪魔になってしまうんです。ですから、どのくらいの大きさまで育つかも考えて樹種を選びます。

なるほどなぁ。むしろ成長しすぎたら、葉が茂っている位置が上に上がってしまって、目隠しにもならないかもしれない(笑)。とはいえ、すごく大きな窓のある家だと、それ以上に大きな木じゃないと隠れませんよね。そういう場合はどうするんです?

ははぁ、なるほど。ちなみに私自身が考える「お庭の使い勝手」というと、家の中からお庭につながる動線とか、水はけのよさなどのイメージだったんです。でもそれだけじゃなく、外からの視線を適度に遮られているか、騒音の問題はないかなど、いろいろな観点があるんですね。

そうですね。そこには時代の変化も関係してきます。たとえば土地がたくさんあった昔は、庭に出て散歩しながらゆったりくつろぐ、みたいな楽しみ方をする人も多かった。でも今は、そんなに大きな庭はなかなか持てません。つまり現実的に、庭は「家の中から眺めて楽しむもの」になってきているんですよね。

そうですねぇ。散歩やバーベキューを楽しむとなると最低でも30〜50坪くらいの庭が必要になってきますから、なかなか大変です。余談ながら、そういう広いお庭を手掛ける場合、お庭全体が見渡せるデザインではなく、少し見えない部分を作ったりします。その方が奥行き感を出せるので。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。