第25回 専務取締役と社外取締役、二足のわらじ

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第25回 専務取締役と社外取締役、二足のわらじ

安田

この度はペイント王の取締役に就任されたとのこと、おめでとうございます!


中辻

ありがとうございます。正確には「社外取締役」なんですけどね。長年、ペイント王を外から見ていて感じていた課題感に、ペイント王の方々と一緒に取り組んでいきたいな、と。

安田

なるほど、まずは社外の人間という立場から関わっていくわけですね。


中辻

はい、ひとまずこの1年間はそういうスタンスです。

安田

それにしても、今だってMAMENOKI COMPANYの経営に忙しいでしょうに、ペイント王の社外取締役という肩書も増えたら、さらに忙しくなりそうですね。


中辻

まぁ、そうですねぇ(笑)。でも実際のところMAMENOKIの業務は部下に任せられる部分がかなり増えていて。私がやっているのは、お客様との商談と採用面接くらいなんですよ。

安田

ほぉ。経営トップがいなくてもしっかり会社が回るって、理想的ですよ。素晴らしい。


中辻

ありがとうございます。そういう状況なので、何とか両立できそうだなと判断しまして。

安田

中辻さんも以前はペイント王で働いていましたよね。で、ペイント王社長の久保さんがMAMENOKIを立ち上げたタイミングでそちらに移り、責任者として経営を任されるようになったと。


中辻

はい、そうですね。

安田

そういう意味でペイント王とMAMENOKIは、最初から活発な交流があったような気もするんですけど。どちらも久保さんが社長を務められているグループ会社ですし、中辻さんをわざわざ取締役という立場にしなくてもいいような……


中辻

いえ…それがそうでもなくて。というのも私と久保さんがマメノキを設立したころは、私がペイント王の人たちとかなり折り合いが悪かったんですよ(笑)。

安田

そうだったんですか(笑)。


中辻

実はそうだったんです。……で、ペイント王から抜けてMAMENOKIに行ったらうまくいくかと思いきや、むしろどんどん悪化しちゃって…(笑)。

安田

なんと(笑)。ということは、中辻さんとペイント王はあまり交流がなかったと。


中辻

そういうことになります。ペイント王のポスティングも担当はしていたものの、本当にただ配るだけというか。チラシの反響や契約率など、密なコミュニケーションはほとんど取れなくて…

安田

そうだったんですねぇ。でも、なんとなく中辻さんっぽくないですね。いつもはもっとおせっかいに関わるじゃないですか(笑)。


中辻

そうなんですよ(笑)。そもそもMAMENOKIという会社自体、必ず反響を出したいという想いで始めたわけですし。普段はお客様とはものすごく綿密に打ち合わせして、細かなところまで気にかけてやってます。

安田

「単なるチラシ配りとは違うから日本一高いんですよ」というポリシーですもんね。その中で唯一、自分の古巣であるペイント王さんだけ対応が違っていたと(笑)。


中辻

……正直に言いますと、ペイント王は一番近い会社でありながら、気持ちの面ではお互い一番遠い存在で。「ポスティングは自分たちでやってもらった方が良いんじゃないか」って、久保さんに伝えたことも何度もあります。

安田

ははぁ、なるほど。それくらい溝が深まってしまっていたんですね。でもそこからどうやって、今回の社外取締役就任という流れになっていくわけですか?


中辻

ペイント王がフランチャイズ展開を始めたことが一番のきっかけですね。その後MAMENOKIも、加盟店獲得のための販促物の作成や広告宣伝に関わるようになって。それでペイント王の社員さんたちと話をする機会が増えて……

安田

あれ、でもその社員さんたちと折り合いの悪かったんじゃ?


中辻

いやそれが、私がしばらく関わらなかった間に、社内のメンバーが一新されていたんです。私と意見が合わなかった方たちが見事に皆さん退職されていて。

安田

おお、それはそれは。でも、久保さんと中辻さんの意見は合致しているわけですから、そこと相容れない社員さんは離れていくのが自然ですよね。


中辻

でも、私自身も過去の出来事に囚われすぎていたなと反省しました。実際今いる方たちは、ペイント王を良い会社にしたいと思っている素敵なメンバーばかりで。反省を活かすためにも、もう1度ペイント王に深く関わって、今よりさらにいい会社にするために協力したい!と思って。

安田

なるほどなぁ。じゃあ久保さんには、中辻さんの方から声をかけたんですか?


中辻

はい、手伝わせていただきたいとお伝えしました。ただ一方で、もしもペイント王の社員さんが誰か1人でも私が社外取締役に就任することを反対するのであれば、辞退するということもお伝えして。

安田

すごい覚悟ですね。


中辻

私のことをちゃんと知ってもらった上で承認していただきたかったんです。全体会議で30分ほどお時間をもらって私の想いを伝えた結果、無事、社員全員からご賛同いただけました。

安田

なるほど。ちなみに今、社内の雰囲気はどうですか?


中辻

自分で言うのもなんですが、社内はかなり盛り上がっていますよ。早速新しい取り組みにも着手していますし。この1年間でかなり変わると思います!

安田

そうなんですね。これからの中辻さんのご活躍、ますます期待しています!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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