「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。
第122回 人生を豊かにする秘密は、「無駄」を楽しむこと

近頃はどんどん物価が上がっています。「令和の米騒動」なんてことも起きたりして。それでちょっと不思議に思ったのが、多くの人は「生きていくために絶対必要なもの」に対しては、あまりお金を使いたがらないんだなぁということで。

そうそう。一方で、コンビニスイーツやお酒といった「なくても困らないもの」に対しては、わりと財布の紐が緩む人が多い気がしていて。それってどういう心理が働いているのか、中辻さんの分析を聞かせていただきたいなぁと。

そうだなぁ…。なくても困らないものって、考え方によっては「無駄なもの」ですよね。つまりどれだけ値上がりしても、別に買わなければダメージはない。だから不満は出ないし、好きで買っている人を悪く言うこともないんじゃないですかね。

本当にその通りだと思いますね。むしろ「無駄なものがあるからこそ生きていて楽しい」とすら感じるくらいで。私は車が好きでそれなりにお金をかけていますが、「問題なく走る」だけが目的であれば、もっと安い車はたくさんあるわけで。

ええ。私も休日にはそれなりに高級なものを食べたり好きなバッグを買いに行ったりするわけですが、どちらも「人生に不可欠なこと」ではない。でもそれで幸せを感じてリフレッシュできるから、「よし、明日からまた仕事頑張ろう!」となれるわけで。

よくわかります。ただ一方でね、そういう「幸せな無駄」を得るためにストレスマックスで日々働いている人には違和感を覚えるんですよ。そんな辛い思いをしてまで働かなくてもいいんじゃない? と言いたくなってしまう。

そういうことです。やりがいや仲間との絆を見出せる会社で働いた方がいいし、会社もそう思わせてあげられるようにするべきなんです。だから「仕事=ストレス」と思っている人たちは、早く転職するかフリーランスになるか社長になったらいいと思います(笑)。

こんなこと言ったら失礼かもしれないですけど、ベニエだって生きていく上では絶対に必要なものではないじゃないですか。そういう意味では「ベニエを売っている」より「幸せを売っている」という感覚なんですかね。
対談している二人
中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役
1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。