第141回 問題行動は「怒られたい」の裏返し?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第141回 問題行動は「怒られたい」の裏返し?

安田

先日、名古屋の小学校で体罰があったっていうニュースを見たんですが、ご存知でした?


中辻

いえ、知らなかったです。どんな内容だったんですか?

安田

なんでも先生が生徒たちに30分以上正座をさせ続けたらしくて。それで全治2週間の怪我をさせてしまったんですって。


中辻

それはそれは…。このご時世に、まだそんな事件が起きるんですね。

安田

そうなんですよ。ただ一方で、どうやっても言うことを聞いてくれない子がいるのも事実じゃないですか。そういう子たちには、多少の「罰」は仕方ないのかなという思いもあるんです。というのも、私、昔先生をやっていたことがありまして。


中辻

そうなんですか! それは初耳です!

安田

実はそうなんです(笑)。アメリカにいた時、日本人学校で日本人児童の先生をやってたんです。でね、こういう言い方もあれですが、中にはとんでもない悪ガキがいるんですよ!(笑)


中辻

笑。でも実際そうなんでしょうね。そういう子が1人でもいると授業にならなくて、クラス全体の雰囲気も悪くなりそう。

安田

まさにそうなんです。だから先生の言うことを聞けない子に「そこで正座して反省しておきなさい」くらい言えるようにしておかないと、クラスの運営にまで支障が出てしまう気がします。


中辻

確かに死活問題ですよねぇ。学校の運営も大変だ…。

安田

ええ、本当に。ちなみに中辻さんは昔、なかなか先生の言うことを聞かない生徒さんだったようですが(笑)、今回の件はどう思いました? どの辺りまでが「指導」としての許容範囲なんでしょうか。


中辻

これは時代によって変わってきますよね。それこそ何十年か前だと、先生が生徒を殴ったり蹴ったりみたいなことって、割と当たり前にあったじゃないですか。

安田

確かにそうですよね。運動部の部活なんかでは特に多かった印象です。


中辻

そうそう。とはいえ、今の時代にそんなことしたら大問題になるのは当然で。そういう意味では「正座」は微妙なラインかなぁ。…ただ、ちょっと違う視点で、「なぜ先生の言う事を聞かないのか」を考えることも大事だと思うんですよ。

安田

ん? それはどういうことです?


中辻

私も昔、先生にひどいことを言ったり授業をまともに受けていなかったりした時代がありましたけど、なんでそんなことしてたんやろうなと振り返ってみると……変な言い方ですけど「怒られたかった」んですよ。

安田

…怒られたかった?


中辻

はい。しかも「他のクラスメイトに迷惑がかかっていることを怒る」のではなくて、「私自身」を怒ってもらいたかったんです。

安田

うーん? ちょっとよくわからないです。つまり当時の中辻さんは「私を怒ってくれる人」を求めていたと?


中辻

仰るとおりです。逆に言えばそういう人が周りにいなかった。母は私が非行に走っているのは自分のせいだと思っていたから「自分が悪いのに娘を怒ることはできない」って考えで。

安田

なるほど。お父様はどうだったんです?


中辻

父は世間体のことばかりを気にしてましたね。私に対しては怒ることもせず暴力だけ振るってました。結果、当時の私は「誰も私に向き合ってくれない」と感じていて。

安田

なるほどなぁ。その寂しさを学校の先生にぶつけていたわけですね。…そういう視点で考えると、有無を言わさず殴ったり正座させたりするのは良くない気がします。


中辻

そう思いますね。その場は一旦収まるかもしれませんけど、結局何も変わらない。だからやっぱりきちんと「話をする=コミュニケーションを取る」ことが大事なんだろうなと。

安田

ふ〜む、それで言うと、私、いまの子どもが生まれた時に、「この子は1回も叩くことなく育てるぞ」と決意したんですよ。


中辻

そうなんですね〜。…実際のところどうですか?(笑)

安田

いや〜正直言ってめちゃくちゃ大変です(笑)。人間だからちゃんと話して言い聞かせればわかってもらえるって思ってやってきましたけど、言っても言っても聞かない(笑)。今の時代に不謹慎ですけど、「叩けば一発で済むのに」なんて思っちゃうこともあって。


中辻

なるほど。それが成り立っていた時代をご存知なだけに、そう思ってしまうのもわかる気がします。

安田

しかも学校の先生なんて、何十人の生徒を一度に相手にするわけでしょう? 子供1人でこんな大変なのに…。現実的にそんなの無理なんじゃ? って思ってしまうんですよ。


中辻

そうですよね。…でも、私は堺の田舎にあるわりとガラの悪い学校に通っていたんですけど、学級崩壊しているクラスもたくさんある一方で、クラスをうまく運営している先生もいたんですよね。

安田

そうなんですか。他のクラスとは何が違ったんでしょうね。


中辻

う〜ん、いろんな理由があるんでしょうけど、生徒と同じ目線に立って話をしてくれて、一緒に楽しんでくれるような先生だとうまくいく印象です。

安田

ああ、まさに昔の中辻さんが求めていたような、「ちゃんと向き合ってくれる」先生ってことですね。


中辻

まさにまさに。だから私もその先生には懐いていたし、他のヤンキーっぽい子たちにもすごく慕われてました。

安田

そういう先生と一緒に過ごせれば、生徒たちも幸せだし楽しいでしょうね。「どこからが体罰か」っていう議論よりも、「どれだけ生徒に向き合っているか」という観点が重要なのかもしれません。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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