「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。
第14回 基礎練習は必要?〜溺れるアザラシの話

「そうか、最初はこういうつまらないことをやるんだ」と思って、行かなくなって。それが終わって皆がサーブを打ち始めた頃に、「よし、やっと卓球ができる!」と行ったんですけど……なぜか先輩にえらく怒られまして。

まさに仰るとおりで、散々説教された挙げ句、「お前はもう来なくていい」と。それでクビですよ。……まぁ、今となっては、球拾いや走り込みのような下積みもね、それなりに大事かなぁと思えるようにはなったんですけど。

昔、古武術研究家の甲野さんっていう方と対談したことがあるんです。ジャイアンツにいた桑田投手に牽制の方法を教えたすごい人なんですが、その方の仰っていた「アザラシとオットセイの話」がすごく印象的で。

犬とか猫って、基本的に陸で過ごしているでしょう? つまり水に放り込まれることって滅多にない。つまりそういう時は危機的状況なんです。だからその危機を生き延びるために、とりあえずの泳ぎ方、犬かきとか猫かきとかを本能に書き込んである。

そうそう。で、人間っていうのはその最たるものなんだと。本能レベルでできることは限られているけれど、逆に言えば、後天的にどうとでも学んでいける。そういう汎用性の高い素材を持って生まれてくるんだと甲野さんは言うわけです。

そのせっかくの素材を活かすには、画一的な基礎練習より、さっきのテニスじゃないですけど、「好きにやらせる」のが一番いい。「最初は球拾いだ!」なんて言うんじゃなくて、「サーブが打ちたいなら、自由に打ってみろ!」とやればいいんです。
対談している二人
西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社 代表取締役 最高経営責任者
1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数18万人とSNSでの発信も積極的に展開している。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。