第75回 「失恋がなくなった世界」はおもしろいのか

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第75回 「失恋がなくなった世界」はおもしろいのか

安田

前回の話にも通じるんですが、「ググる」のと、「AIに尋ねること」の違いって何だと思います?
若い人は「AIの方が便利でしょ」と当たり前に感じているかもしれませんが、例えば5060代の経営者の中には「GoogleAIって何が違うの?」と思っている人もいるだろうなと。


西崎

うーん、そうですね。従来のGoogle検索などは「判断材料を見つけてくれる」っていう感覚ですね。一方AIは「ズバリな答えを教えてくれる」という感じ。

安田

ああ~確かに。実際ネット検索って、誰かが作ったコンテンツの中から「求める答え」に近いものをまとめてくれるだけですもんね。


西崎

そうなんですよ。しかも大量にリスト化して出してくるから、一つ一つチェックして判断していく必要がある。でもAIの場合、例えば「いまこういう症状が出ているので最適なクリニックを教えて」と入力すると、「ここがベストです」と返してくれるイメージがあります。

安田

まさに同じような感覚です。Googleで「こういう好みで、でもこういうのは嫌で」とすごい長文で入れたところで、「該当するページはありません」で終わっちゃったりするし。でもAIなら、仮にピッタリのものがなかったとしても「こういうのはどうですか?」と提案してくれたりもする。


西崎

そう考えると、僕らの代わりにAIGoogleを使って調べているようなものなのかもしれませんね。

安田

そう、まさにそれ!  人間の代わりにAIが「これは違う、これは近いかも」と情報を取捨選択してくれている感覚です。ちなみに西崎さんは、Google検索はそのうち完全になくなると思います?


西崎

うーん、最終的には、って感じですかね。実際僕もまずAIに聞くようになってますし。しかも使えば使うほど精度が上がっていくじゃないですか。

安田

そうそう。こちらの好みや性格を学習してくれるんですよね。1年間付き合ったAIとただのGoogleとでは、かなり差が出てきますよね。ところで、AIってどうやってマネタイズされていくと思います? 今は「使用料」で成り立ってますけど、この先は広告なんかも入り込んでくるのか。


西崎

どうなんでしょうね。使用料についても今は月2,0003,000円くらいで使えますが、「もう使わないと生活できない」くらいになれば、5,000円でも1万円でも払う時代が来るかもしれません。スマホもそうでしたよね。昔に比べたら価格はすごく上がってるけど、もはや手放せない。

安田

確かに。ちなみに前回は仕事探しの話が出ましたが、いわゆる婚活やマッチングサービスなんかでも効果を発揮しそうですよね。「あなたの人生において、これ以上ベストな異性はいません」なんて言われたら、さすがに会ってみたくなるだろうし(笑)。


西崎

会いたいですね(笑)。まぁ、あまりにピッタリ過ぎるのもどうなんだろうと思う部分はありますけど。

安田

ああ、わかります。人間って、「ちょっと抜けてる」とか、「ここ嫌だけどまあ仕方ないか」とか、そういうのを含めて関係性を築いていくところもありますもんね。


西崎

そうそう。まぁでも、そういった「いい感じの抜け具合」もAIは計算してくれるのかもしれない(笑)。

安田

は~、なるほど確かに。そうなったらもはや世の中から「失恋」というものがなくなるのかもしれない(笑)。


西崎

うーん、なるほど(笑)。それは人間にとって果たしていいことなのか(笑)。

安田

確かにねぇ(笑)。「あの人、どう思ってるんだろう」っていうドキドキもなくなっちゃって、おもしろくなくなっちゃうのかもしれませんね。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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