第80回 社員が独立してガチガチの競合になったら?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第80回 社員が独立してガチガチの競合になったら?

安田

経営者をしていると、社員が独立することもあるじゃないですか。でもその人や会社がガチガチの競合になった場合、西崎さんはどう対応します? 潰しにかかるのか、放置するのか、そもそも全く気にならないのか。


西崎

まず前提として、今までそういう事例がないんですよね。でも仮にそういうことが起こっても、「邪魔してやろう」という感覚はありませんね。

安田

西崎さん側はそう思っていても、トゥモローゲートさんのコンセプトを丸パクリされるかもしれませんよ? そうなったらさすがに対応はするでしょう?


西崎

う~ん、まあ、パクリ方の程度によっては、無視はできないかもしれませんけど。ともあれ会社って、ある程度規模が大きくなると、必ずベンチマークされるものじゃないですか。

安田

まぁそうですよね。競合他社に対して明確に敵対的な企業もありますし。


西崎

それでいうと、僕が以前いた企業は、競合他社や、それこそ独立して同じような事業を始めた人には厳しかったですね。「一社でも顧客を奪ってこい」というような怖い世界でした(笑)。でも僕はそれを見てあんまりピンと来なかったというか。顧客を奪うんじゃなく、顧客が自然にこっちに頼んでくれるような会社になるべきだなと。

安田

ふ〜む、さすが西崎さん!という考え方ですね(笑)。ちなみにもし社員さんが独立することになって、西崎さんに「同業でやりたいんで、許可をください」と相談してきたら、どう対応しますか?


西崎

あ、それでいうと、うちは明確に禁止しています。社員にも役員にも、12年の競業避止義務を設けていて。ともあれ完全に防げるわけではないので、なかなか難しいところですけどね。

安田

ふ〜む。ということは社員が同業で独立して、最終的にパートナーになる可能性はあまりないですか?


西崎

おそらく難しいと思います。現実的には顧客の取り合いになってしまうでしょうから。まぁ、何が起こるかはわからないので、可能性としてゼロではないと思いますけどね。

安田

まぁ実際のところは難しいでしょうね。ワイキューブという会社でも独立がすごく多くて、100人以上が社長になりました。でも同業で独立した人はほとんどいませんでした。


西崎

やっぱり本人も「まずいな」と思うんでしょうね。僕自身も独立するときは「同じことは絶対にやりたくない」と思っていたので、採用の施策に特化して独自の領域に進んだんです。結果的に前の会社との関係も良好なままで、何なら発注ももらえてました。

安田

なるほどなるほど。それが一番いいですよね。実際前職とまったく同じ仕事をやってる人って、あまり大きくはなれないですし。ちなみに先ほど競業避止義務の話が出ましたけど、どのあたりまでを同業と定義しているんですか?


西崎

そこまで細かくは決めてないんですけどね。あくまで「同業での独立はやめてね」というざっくりとしたルールだけです。かといってルールとして示しておかないと、何人も社員を引き連れて同業で独立、みたいなことが起こりかねないので。

安田

ああ、よくある話ですよね。実際、どこまでを同業と判断するかって、本当に難しい問題ですね。特にブランディングなんて広範囲にわたりますし。


西崎

その通りです。なのでそこは細かく制限できないですよね。独立する側にしても「ブランディングに関わることは一切禁止」と言われたら、今までのキャリアを全部捨てることになるわけで。

安田

確かに確かに。ともあれトゥモローゲートさんは皆さんの関係性もよさそうだし、大きな問題は怒らなそうですね。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

Twitter

1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから

CAPTCHA