第50回 「求人」+「空き家」で、人手不足に挑む

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第50回 「求人」+「空き家」で、人手不足に挑む

安田
前回のお話では、美濃加茂市内なら高くても1坪20万円くらいで土地が買えるとのことでした。そうするとのうひ葬祭さんの社員さんたちも、わりと若いうちから家を買うことができそうですね。

鈴木
そうですね。東京なんかに比べたら、買いやすいんじゃないのかなとは思います。
安田
ちなみに鈴木さんは相続不動産テラスで空き家を扱っていますが、社員さんの中にはそういった空き家を買ってDIYしたりリフォームしたりする人もいらっしゃいます?

鈴木
うーん、いや、いないですね。
安田
あ、そうなんですね。というのも最近、中古物件を買ってそれをリフォームして住むことが、全国的に流行りだしているみたいなんですよ。今ってもう、普通の人じゃ新築なんて買えなくなっていますから。

鈴木
そうですよね。材料費も人件費も上がり続けていますから。ウチも最近式場をリニューアルしましたが、7年ほど前にリフォームした時と同じ発注内容だったのに、値段は1.3倍でした(笑)。
安田
そうですよね。というか今の日本で新築を建て続けるなんて無理な話だと思っていて。だってすでに人口と同数くらいの家が建っているらしいですから。

鈴木
しかも家を建てた時点から「劣化していく」とみなされて、価値が目減りしていきますからね。新築で建てた時より高く売れることなんて、ほぼありえません。
安田
ですよね。だったらはじめから中古物件を買って、自分が住みたいように作り変えるほうが、トータルでかかる費用はよっぽど安上がりですよ。

鈴木
同感です(笑)。
安田
ところで以前から何度も「空き家問題をどう解決するか」というテーマで対談をしてきましたが、私ちょっと考えたことがありまして。

鈴木
ほぉ、また何か面白いことを思いつかれましたか?(笑)
安田
あの、最近の地方企業の採用は、地元だけでなく少し離れた場所から人を呼び込むスタイルがちょっとずつ増えてきているそうなんですよ。

鈴木
へぇ、そうなんですか。それは就職のために引越してきてもらうということになりますよね?
安田
そうなんです。引越し費用を負担しますとか、家賃補助しますとか。で、私が考えたのは「あなたに合った素敵な空き家を見つけるお手伝いもしますよ」というのをセットにするのはどうかなと。

鈴木

ほぉ、なるほど。面白いアイディアですけど、それって若い人たちには魅力に思ってもらえますかね?(笑) 若い子は一軒家に一人暮らしなんてしないでしょ(笑)。

安田
いやいや、若い人に限定する必要はないんですよ。人手不足の解消には、年配の方の力も借りていいと思うんです。実際、年金ももらっているけどまだまだ働きたいという方も増えていますし。

鈴木
ああ、そうか。しかも年配の方には田舎暮らしに興味がある人も多いかもしれないですね。安田さんのように(笑)。
安田
そうですそうです(笑)。以前、求人と空き家問題は似ているというお話をしましたが、「仕事」と「住まい」をセットで提供することで、どっちの問題も同時にクリアできるんじゃないかなと思ったんですよ。

鈴木
ほぉ〜確かにいいかもしれない。ちなみに僕が不動産をやっていて思うのが、中古物件を探している方々が一番重視しているのは「立地」なんですよ。
安田
あぁ、なるほど。家の中は自分のやりたいようにリフォームできるから、まずは「このエリアに住みたい」という場所を探すことからスタートするんですね。

鈴木
そうそう。だから空き家をフルリノベーションして売り出すのではなくて、とりあえずそのままの状態で売り出す。で、立地を気に入って購入後、予算に合わせてリフォームをしていただくんです。
安田
リフォームだってプロに丸投げする必要もないかもしれないですね。最近はDIY好きな方も多いから、地元の人に「副業」として手伝ってもらうのもアリかもしれないですよね。

鈴木
なるほど。そうすれば地元の人との交流も生まれて、スムーズに移住できるかもしれないですね。
安田
先ほどの「立地が重要」というお話に戻すと、学校とか病院とかスーパーなどの日常生活圏内の距離感に加えて、職場へのアクセスが良いことも重要視されるじゃないですか。そう考えると、やっぱり「仕事」と「住まい」をセットにしてあげることで、結果的に立地問題も解決しますよね。

鈴木
確かにそうですね。しかも「住まい」については、土地付きの中古物件がローンを組むことなく買える可能性が高いわけで。そうすると、リフォームにしっかりお金をかけることができて、自分の理想の住まいになるから、さらにお得じゃないですか(笑)。
安田
仰る通りです(笑)。鈴木さん、これ、事業化しましょうよ! 人手不足で困っている地方企業さんに「求人と空き家をセットにすることで、人を誘致しましょう」って。

鈴木
「ウチで働くと、家がついてくるよ」ということですか(笑)。
安田
そうですそうです。ただ、家だけもらってすぐに辞められてしまっても困るので、「家も土地もあなたのものです。ただし、5年働いたら」という条件をつけて(笑)。

鈴木
笑。じゃあ新事業候補として、ちょっと検討してみますね(笑)。

 


対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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