第89回 大手のブランディング、中小企業のブランディング

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第89回 大手のブランディング、中小企業のブランディング

安田

大手と中小のブランディングって別物だと思うんですよ。例えばサントリーさんの「水と生きる」というメッセージも、大手の飲料メーカーだから成り立つけれど、中小企業が同じことを言っても現実味がないじゃないですか。


西崎

確かに大手と中小ではブランディングの手法も変わってきますよね。大手は大手だからこそ広いターゲットに対して訴求する必要がありますし。

安田

ええ。それに予算規模もあるじゃないですか。大手のように何十億、何百億もかけられるならまだしも、それよりずっとずっと小さい予算で「すごいブランドを作りたい」と言われても、無理なんじゃないかって。


西崎

確かにお金や規模感で言えば、中小は大手には勝てません。とはいえ、じゃあブランドが作れないかと言われたら全然そうは思わなくて。

安田

ほう、そうですか。どんなやり方をすればいいんです?


西崎

ケースバイケースですが、基本になるのは「人の想いを体現したサービスや商品」であることですね。その会社のこだわりやビジョン、そしてそれを体現する人、そういったものを軸にしてブランドを具体化していく。

安田

なるほど。でも、ロゴを変えたりスローガンを作ったりしても、いきなりブランドが定着するわけでもないじゃないですか。


西崎

もちろんそうです。だから作ったブランドを「磨き続ける」「伝え続ける」ことが非常に大事で。技術力は高いけど見せ方が下手な場合や、見せ方はうまいけど中身がない場合もあります。特に中小企業は中身と外見の両方を高めないと強いファンは作れないので。

安田

なるほどなぁ。私、ブランディングのことを考えるとよく頭に浮かぶのがライザップさんなんです。サービス自体はどこのジムでもできることで、店舗や設備が特別良かったわけでもない。でもしっかり「ブランド」として定着しているでしょう。


西崎

そうですよね。ライザップさんはとにかくCMの作り方が巧みでしたよね。あのビフォーアフターの衝撃たるや(笑)。

安田

いや本当に(笑)。それにしてもあれは相当に制作費・広告費がかかっているでしょうね。あれを先行投資できたのはすごいなと。…ちなみにああいう大きな規模のCM案件が来たら受けるんですか?


西崎

もちろんご依頼があればぜひやらせてもらいたいですね。ただ先ほどの話にもあったように、ちゃんと中身があるサービス・商品であることが前提です。「CMをバンバン流していれば売れる」なんて単純な話ではないので。

安田

なるほどなるほど。でも世の中には、「CMをバンバン流していたから売れた」商品もあると思いますよ。かくいう私も、以前CMが話題になっていたある商品を買ったんですけど、びっくりするくらいの粗悪品でした(笑)。具体名は挙げませんけど。


西崎

あら(笑)。そういうのは嫌だなぁ。本当にいいもの、想いがこもったものを広げるお手伝いをしたいというか。だから商品・サービスの質はもちろん、そのあり方までしっかり踏み込んだ関わり方をしたいです。

安田

なるほど、西崎さんらしいです。うまく見せかけだけやっても意味がない。本当に価値のあるサービスを提供しているかどうか。そこまで一緒に踏み込んでいくということですね。


西崎

仰るとおりです。ともあれ、現時点で100点満点じゃなくてもいいと思うんです。とにかく磨き続けること、そして伝え続けること。そこの伴走こそ、僕らトゥモローゲートの役割だと思っています。


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数20万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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