この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『龍|セッションで話していない龍がやってきた、おしどりご夫婦の場合』
一生懸命に頑張ったら、「こうしよう」と思ったのと違う考えや気持ちが浮かんでくる‥‥そんなことはありませんか?
合理的に計算して、論理を使って完璧に組み立てたのに、何かが違う‥‥、
そんな時は、実は、思った以上のステップに踏み出しているのかもしれません。
『考える人』で有名な、近代彫刻家のロダンは、「親愛なる巨匠、作品の始まりから創作の過程をどのように説明しますか?」と聞かれた時、こう答えました。
「最初に強烈な感情を経験し、それが徐々に具体化し、それを形にするよう促します。
次に計画と設計に進みます。
最後に、実行に移すとき、私は再び感情に身を任せ、
計画を修正するきっかけになることがあります。」
ロダンの彫刻といえば、躍動感ある人の彫刻が有名です。それは、「こうしよう」という論理的な意図と、「こう感じる」という非合理的な気持ちとの間で生まれていることがわかります
非合理な気持ちに対して、どう対処したらいいか、誰も教えてくれません。
身を任せていい感情かどうか?
感情を計画に取り入れていいのか?
どうやって取り入れるのか?
その判断は、正面から自分に向き合って問かければ、わかります。
‥‥自分の腹にストンと落ちる感覚があるかどうか。
自分の内面を注意深く、愛情を込めてじっくりと感じ取ってみれば、自ずと感じ取れてくるものなのです。
意図的な知的構築は、私たちを思っても見なかった、素敵な【新しい現実】の扉へと運ぶきっかけ。そう捉えてみれば、自分が思っていた以上の現実が、展開していきます。
ビジネスに置き換えると、「ブレイクスルー」や「イノベーション」に、非合理な要素を活かすヒントになります。ブレイクスルーの意味は「これまでにない考え方で目の前にある障壁を突破すること」です。革新的なアイデアや戦略によって、シェア拡大や差別化などの課題を解決することを指します。イノベーションは、オーストリア出身の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによって「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」と定義された言葉です。
これまでにないもの。新しいもの。それは、意図的で知的な論理構築の外から掴むこともできるのです。かといって、やたらに非合理なものを受け入れると単に混乱して散り散りになってうまくいきません。非合理なものを、どう論理につなげるか?という橋渡しの技術が必要です。
先ほどのロダンの話は、芸術の分野で、論理と非論理を上手に行き来して成果を出している好例です。
オーダー絵画でも、クライアントとセッションした以上のイメージを活かして、作品を作っていくことがよく浮かんできます。非論理が、新しい世界を構築する大きな力になるのです。
「門間さん、こんなに大笑いする龍って、初めてです。温かい龍の絵を描いていただけると思っていましたが、こんなに楽しそうに笑っているとは‥‥、自分たちの龍の姿に感動しました」
Kご夫婦のオーダー絵画は、最初、「自分たちの龍はどんな龍なのだろう。知りたい」というところから始まりました。
医療の仕事に携わる旦那さまは、先生としての自然な威厳を持っている方。奥さまは、優しく人を包み込むような笑顔の持ち主。一見して正反対の要素を持っているのが感じられました。それがまた、見事に調和して、仲が良い空気が伝わってきました。
「まるで、お二人で補い合って一つの世界を作っているようですね」とお伝えすると、夫婦二人でニコニコと笑顔になりました。そうやって、和やかにセッションで話しているうちに、楽しげな陰陽の2頭の龍がいるイメージが生まれてきました。
セッションの後、アトリエに戻って、ビジョンクリエイターとして、イメージを育てます。ありがたいことに、龍は動く姿で、映像として表れます。一人の人に、一頭の龍。様々な姿かたちの龍がやってきます。論理を超えた、非合理な世界ですが、生き生きした龍たちとの出会いは、とても楽しく嬉しい時間です。
数日から長い時には数ヶ月の間、私の頭の中で、楽しそうな龍たちが動き遊んでいます。そうするうちに、だんだんとイメージがはっきりしてきます。
K夫妻の龍は、やがて、満面の笑顔を湛えた龍二頭となりました。
たくさんの龍を描いてきた私も、こんなに笑顔の龍を描いたことはありませんでした。でも、
「K夫妻の龍は、間違いなく、この龍たちだ」
腹の底から確信できました。
こうして、下絵が完成。
K夫妻との2回目のセッションで見せると、
「門間さん、こんなに大笑いする龍って、初めてです。温かい龍の絵を描いていただけると思っていましたが、こんなに楽しそうに笑っているとは‥‥、自分たちの龍の姿に感動しました」
二人も満面の笑顔になりました。
1回目のセッションの後に、いろいろな良い変化もあったことも聞きながら、下絵を三人で見ながら本画のイメージをあれこれお話ししていると、旦那さまの頭に絵に描かれていない道具が浮かんできました。
それはまた、満面の笑顔とは結びつかない驚きの道具でしたので、また別の物語の時に、お話しします。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。