// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第15回》「自分だけの成功方法」はどこに?
「何を使えば効果的に集客できるのか?」
店舗の経営をする上で、これを考えない人はいないと思います。
もちろん私が初めてお店を開業したときも同じでした。
そして、開業をお手伝いしているオーナーさん達からも同じ質問を受けます。
「何を使えば効果的に集客できるのか?」
これに対する私の考え。
それは「思いついたものから全部試してみる。」ということ。
もちろん、適当に言ってる訳じゃありません。
この考えは、自分が開業した時にこの疑問から抜け出せなかったことに対する反省であり、そして「何を使うか?」よりも大切なことがあると、今は思っているからなのです。
「何を使えば効果的に集客できるのか?」
1号店を開業して集客に悩んでいた時、私はこればかり考えていました。
ただ今から振り返ると、これはこの疑問自体が間違っていたと思うのです。
なぜそう思うのか?
それは、考えているだけでは経験値が増えることはなく、経験値が増えないと集客の精度は上がらないから。
そして、自らの経験値を増やすことでしか自分なりの成功方法は作れないから。
この連載の第13回でも書きましたが、自分なりの成功方法というものは、どこかの本に書いてある訳ではなく、自ら試行錯誤を繰り返し、その過程の中で作り出していくしかないと思います。
もし、何を使うかという選択だけで集客の効果が上がるのならば、それは他のお店も同じように集客できるということ。だから「何を使うか」という選択に力を注ぐのではなく、選択したもので「どう効果を出していくか」という改善に力を注ぐ必要がある訳です。
「ウェブサイトを作ったけど、アクセスが増えなかった。」
「SNSで発信したけど、集客効果がなかった。」
こういった言葉を使ってしまうのは、選択自体に意味があると思ってしまっているから。
私が経営するお店と私がお手伝いをしているオーナーのお店では集客方法が全く違います。
これは思いついた集客方法を全て試して改善を続けた結果に残ったものが、私のお店とオーナーのお店では違うものだったから。
「思いついたものから試して、改善して、自分なりの成功方法を作り出す。」
文章にすれば、ごく当たり前のことかも知れません。
ただ、この当たり前のことができているお店はとても少ないと思うのです。
選択と改善。
集客の成否に与える影響は「何を選ぶか?」という選択よりも「どう効果を出すか?」という改善の方がはるかに重要で、この改善を諦めずに積み重ねていくことこそが、「自分だけの成功方法」へ近づく道なのだと思います。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。