// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
いきなりちょっとした告白をさせていただきますが、私は1号店を開業した時、「仕込み」という作業を知りませんでした。何の仕込みもせずにお店を開けてしまったため、当然ですが商品の提供には長い時間を要し、多くの注文キャンセルをいただくこととなりました。
そこでようやく知ったのです。
「そうか、この事前の準備を仕込みというのか」と。
「なんてバカな奴だ」と思われるのも当然でしょう。
仕込みをしなければ、せっかくの売上を伸ばすチャンスを自ら捨てているようなものであり、そんなお店が繁盛する訳ありません。仕込みをするからこそ、ご注文というチャンスを売上に繋げることができる訳です。
そして、こんな失敗を今から振り返ってみると思うのです。
この「仕込みの重要性」というのは何も料理に限った話ではなく、商売にも同じことが言えるんじゃないかと。
料理の仕込みをするのは当たり前。
飲食店をされている方で、この考え方に異論のある方は少ないと思います。
その日の売上を予測し、予めある程度の仕込みをしておく。
だから適切なタイミングで商品を提供することができる。
もちろん、売上の予測が外れて仕込みが無駄になってしまう日もあるかも知れません。
でも、だからといって仕込み自体を止める人なんていないでしょう。
これは商売も同じではないでしょうか?
将来へ向けての仕込みをしておくからこそ、そのタイミングが来た時にチャンスを掴めるのであり、そのタイミングが来てから準備をしようと考えるのは、何の仕込みもせずにチャンスを掴もうとしていた開業時の私と変わらないと思うのです。
じゃあ、将来へ向けた仕込みとは何なのか?
その答えは、将来それぞれが手にしたい価値によって異なるため、誰にとっても共通の正解なんてないのでしょう。
ただ、今日の売上予測が外れて仕込みが無駄になったとしても、明日の仕込みを止めないからこそ繁盛店に近づけるのと同じく、私たちはたとえ予測が外れる可能性があったとしても、常に将来へ向けた商売の仕込みを続けていく必要があるということ。
今日、今週、今月を振り返った時に、どれだけの時間を将来への仕込みに投資したか?
この問いに対する答えが将来のチャンスを掴める可能性を決めるのであり、料理の仕込みをしなかった私のお店がチャンスを掴めなかったのと同じく、将来へ向けた仕込みをしない商売もまた、チャンスを掴めることはないと思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/