第200回 完璧を目指すのはやめよう

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

おかげさまで、このコラムも200回目を迎えることができました。
いつも読んでいただいてる皆さま、ありがとうございます。

さて、今回はそんな節目ということもあり、このコラムを書き始めた頃の心境を振り返りつつ、私が何か新しいことを始めるときに意識していることについて書いてみたいと思います。

皆さんが商売を通じて何かしらの新しい取り組みをしようと考えた時に、参考にしてもらえる部分があれば嬉しいです。


私が新しいことを始めるときに意識していること。
それがタイトルにも書いた「完璧を目指そうとしない」ことです。

私の記憶が確かなら、このコラムを書き始めた時もかなり不確実な部分が多いままのスタートだったように思います。

「本当に毎週書けるのだろうか?」
「自分の経験を振り返ってコラムを書いていたらネタ切れをするんじゃないか?」

こうした不安要素も抱えながら、準備万端とは言えない状態でスタート。
実際に始めてみてから現在に至るまでを振り返ってみても、やはり問題に直面することが何度かありました。

「書く時間が足りない」
「もう自分が書けるネタがない」

もし、完璧な準備を目指していたら、こんな問題が起きることもなかったでしょう。
きちんとコラムを書く時間を確保したスケジュールを立てて、ネタ切れにならないよう1年先までのネタも考えておく。

確かにこうした状態でスタートをした方が安心かも知れません。
ただ一方で、完璧な準備を目指すことで起きる問題点もいくつかあると思うのです。

その問題というのが、完璧を目指そうとするほど、始めるのが遅くなってしまうということ。毎回準備に時間がかかりすぎて継続するのがしんどくなるということ。そして、完璧を目指すあまり、失敗を他人に見せられなくなってしまうということです。

つまり、完璧な準備をしようとすることは、「始めない、続かない、失敗しない」ということであり、これこそが成果に近づかない確実な選択であるような気がしてなりません。

逆に考えれば、完璧なんて目指さないからこそ、とりあえず始められるし、柔軟に変更を加えることで継続できるし、失敗も受け入れられるようになるのではないでしょうか。

「完璧を目指さない」という意識は一見、手抜きの姿勢に見えるかも知れませんが、「始める、続ける、失敗する」ことが商売で成果に近づくために必要な行動であるならば、完璧を目指して行動しないことこそが、商売においては本当の手抜きではないか、と私は思うのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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