第237回 三日坊主のプラス面

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

「三日坊主」という言葉があります。
この言葉を聞いてマイナスの印象を持つ方は多いのではないでしょうか?

実際に意味を調べてみると、「物事に飽きやすく、長続きしないこと」、「また、そのような人のことをあざけっていう言葉」とあり、プラスの意味で使われることはほとんどなさそうに思えます。

でもこの三日坊主という言葉。
商売において考えてみると、必ずしもマイナスばかりではないような気がしてくるのです。


商売における「三日坊主」という言葉のプラス面。
それは少なくとも「何かしら新しいことを試してみた」という事実だと思うのです。

というのも、これまで様々なお店の改善をしてきて感じるのは、業績がなかなか改善しないお店というのは、試したことが間違っていたり、試したことが続かなかったというよりも、何かを試す回数自体が足りていない場合が多く、これは開業した当初の自分にも全く同じことが言えます。

つまり、私自身の反省を踏まえて言うならば、新しく試したことが三日以上続いたかどうかよりも問題だったのは、そもそも新しいことを試していなかったから業績が改善していなかったということ。

そう考えるのであれば、確かに途中で続かなくなったのは事実だったとしても、少なくとも何も試そうとしない人よりは前に進んでいると言えますし、商売における新しい取り組みの多くは期待した成果にならないという自身の経験を踏まえて考えれば、新しいことをどんどん試しながら取捨選択の回数を増やしていく人こそが、期待した成果に近づくことができる人とも言えるのではないでしょうか?

「三日坊主」という言葉の多くは他人を否定的に評価する場合に使われます。

でも、もしかしたらこの様に「誰かが新しいことにチャレンジした」という事実に目を向けることなく、続かなかったことばかりに目を向ける人こそがチャレンジすることの重要性に気づいていないのかも知れず、そんなチャレンジの重要性に気づいていない人が三日坊主と呼ばれる人以上に成果を出すのは難しいような気がしてなりません。

あるサッカー選手は過去に、「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」という言葉を残していますが、これに例えるならば、新しいチャレンジをやめることができるのもまた、新しいチャレンジをやってみた者だけであり、仮に何かが続かなかったとしても、それはチャレンジをしたからこそできる経験だと捉えれば、続かなかったことを否定的に評価する人の存在なんて気にしなくても良いのだろう、と今は思うのです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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