第245回 自分に何を質問するか?

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

私は最近、毎日AIに対して様々な質問をしています。
使ってみると面白いもので、少し曖昧な質問を投げかけると的外れな回答が返ってきますが、具体的な質問を投げかけると高確率で的確な回答が返ってきます。

そして、こうしたやりとりを続けている中でつくづく思うのです。

質問の質によって回答の質も変わるというのは、自分に対しても同じだな、と。


「なぜ、売れないんだろう?」
開業してしばらくの間、私はこんな事ばかり考えていました。

結局、当時出てきた答えと言えば
「駅から遠すぎる」、「認知度がない」、「資金が足りない」
といったマイナス面に意識が向いたものばかり。

商売を始めたばかりの頃、私と同様に自分の商売に不足している部分ばかりに意識が向いてしまう人は意外と多いのではないでしょうか?

ただ今から振り返ると、この「なぜ、売れないんだろう?」と考えることは、売れない理由を自分に対して質問しているのと同じであり、AIに対する質問と同じく、質問の内容が良くなかったからマイナスの答えしか出てこなかったのではないかと思うのです。

では、当時の私は自分に対してどんな質問をするべきだったのかと考えると、それは「自分のお店の魅力は何だろう?」といった目の前の状況をプラスから捉える問いかけであり、プラスから捉える質問をするからこそ、前向きな行動に繋がる答えも導けるのだということ。

結果的に私は何とかお店を繁盛させることができましたが、それは立地の悪さや資金不足が解消されたからではなく、逆にその状況を利用するという選択をしたからだと今は思っています。

そして、そんなマイナスに見えていた状況を利用しようと考えるきっかけとなったのは、やはり自分に対して売れない理由を質問するのをやめ、自分のお店が持つ魅力を質問するようにしたことだと感じるのです。

立地や資金不足は嘆いたところで何も解消されませんが、自分に対しての質問を変えるだけで現状を変えるきっかけが掴めるのであれば、これを利用しない手はないと思うのです。

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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