ドトールの休日問題ってご存知ですか？

何でしたっけ。

ドトールって休みが115日ぐらいあるんですよ。外食ではすごく多い。でも今回、有給が強制化されるじゃないですか。

はい。義務化しました。

それではやってけないってことで、祝日を出勤日にしてその日を「有給奨励日」にしたわけです。

よくあるやつですね。

今まで休日だった日が出勤日になって、休んだら有給が減っちゃうっていう。

祝日も多いし、人も採れないし、現場が回らないんだと思います。

「元々115日もあったんだからいいじゃないか」っていう意見と「詐欺だ！」みたいなのと、ネットでは二極化してるんですよ。

紛糾しそうな話題ですよね。

法的には問題ないみたいですけど。社員の代表がオッケーしてるらしいので。

中小企業の現場も同じですけど、休日数を増やすと残業代も増えていくんですよ。計算式も変わってくるし。

まあそうですよね。

あとは労働時間イコール売上っていう商売じゃないですか。

外食はまさにそうですね。

ほとんどの中小企業も労働集約型なので、休みが増えると稼ぐ機会を失ってしまう。

だから休みは増やせないと？

経営者視点からするとやむを得ないだろうなと思う。けど世論は許さないですよね。

世論は厳しいですけど、元々休みが少ない会社と多い会社があるわけで。そもそもそこが公平じゃないですか。

そうですよね。

有給を義務化する前に、年間休日数を115とか120とか義務化すべきなんじゃないかと思うんですけど。

確かに。最低ラインだと本当は105でいいのに、ドトールは115あるわけですからね。

そうなんですよ。

105の会社が有給完全消化してもマックス125日しか休めないし。

生産性を上げるために有給を義務化するのであれば、年間休日数の義務化もやらざるを得ないんじゃないですか？

そうですね。年間の労働時間数みたいなところも含めて。

ですよね。今回のドトールも「ズルい」って言われてますけど、元々休みが多い会社ほど有給義務化はこたえますよ。

有給の日数だけ義務化されてもって感じですよね。

そうですよ。しかも祝日はどんどん増えて行くし。最低年間休日110日とかにしちゃったほうがスッキリしませんか。

それやっちゃうと従業員の利益が毀損しちゃうんですよ。110超えてる会社は何もやらなくていいって話になるので。

でもそれは今までが不公平だったからじゃないんですか。

そうなんですけど。気持ちとしては全員一律で有給5日の義務化といったほうが。

公平に見えると。

見えるし全体の底上げにもなる。でもどこかのタイミングではやるんじゃないですか。有給を完全消化した後に、今度は年間休日を115日にするみたいな。

労働集約型の会社って、なんだかんだ言ってものすごく残業やってますよ。残業手当を払ってたとしても労働時間が長いのは否めない。

機会損失になるので、どうしても労働時間は長くなっちゃいますね。

自社だけ休むから機会損失になるんですよ。全部の会社が一斉に110日休めば他社には流れない。

そうですよね。次のステップとしては絶対ありそうです。

でもそうなると既に休み多い会社は「増やさなくていい」という話になりませんか？

そうなりますね。

本当は経営者も休みを増やしたくないわけじゃないんですよ。ただ利益を出さなきゃいけないので。

まあそうなんでしょうけど。

だからこそ「1人当たりの生産性が上がるアイデア」を出せってことじゃないですか。

本当はそうなんですけどね。

休みを増やして、なおかつ売上も上げる。利益も増やすっていう。

もちろん経営者も考えてるんですよ。考えてるけどアイデアが出ない。

ホントですか？中小企業の経営者って放棄してませんか。考えることを。

いや、考えてる人は考えてます。

それはどのくらいの割合ですか？

2割ぐらい。

たった2割ですか！

高齢の経営者の方は難しいですよね。

そういう人たちはどうしようと思ってるんですかね。これからどんどん苦しくなるのは目に見えてるじゃないですか。

「どうすりゃいいのか考えるのが経営者の仕事だ」って安田さんおっしゃりたいんでしょうけど。「どうすりゃいいのか教えてくれよ」ってのが多くの経営者の考えですね。

教えたら言うこと聞いてくれるんですか？

いや、あまり聞いてくれないですね。「うちの業界ではちょっと難しい」とか「うちの業界のこと分かってないですね」みたいな反応です。

そこはガツンと言わないと。

前も話しましたけど怒り出しちゃうんですよ。

怒ってもしょうがないじゃないですか。

「厚労省の回し者か」みたいにアンケートには書かれます（笑）

それは講演か何かで？

はい。頼まれて講演するんですけど。「ひどい国だ」「ひどい社労士だ」って。

完全に他責ですね。社員には「人せいにするな」とか言ってるくせに。

「言ってることは分かるんですが、腑に落ちません！」みたいな(笑)

別に落ちようが落ちまいが、どっちでもいいんですけど。

昭和を生きてきた経営者は腑に落ちないんですよ、やっぱり。

とうかいのお客さんは感度がいいって言ってませんでしたっけ？

こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど。他の事務所よりも意識の高いお客さんは多いと思います。

そういうお客さんを久野さんが選んでるんですか？

そんなことはしませんけど。でもある程度意識が高い人じゃなきゃ私に顧問を頼まないですよ。

まあ確かに。耳が痛いこと言われますもんね。

言わざるを得ないんですよ。これは私の意見じゃなくて世の中全体に起こっている変化なので。

言ったら怒られるし、言わないとお客さんの経営が成り立たなくなるし。難しい立場ですね。

ホントそうなんです。そこを分かっていただきたい（笑）