この記事について
税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
国は雇用を守りたいのでしょうか。ちょっと疑問なんですけど。
守りたいと思います。
本音では生産性を上げたいわけでしょ?
生産性も上げたいし、雇用も守りたい。両方ですね。
でもコロナで失職する人はかなり増えますよ。
増えるでしょうね。
それを止めようとしているようには見えません。
止めたいとは思います。ただ止められないだけで。
でも本気で止めたいなら、もっと助成金をバンバン出すべきでは。
できれば自力乗り切って欲しい。
そんなことができる会社はほんの一部だけですよ。
まあ2〜3割でしょうね。
本気で雇用を守ろうと思ったら国がお金出すしかないと思う。
結果的には出すことになるでしょう。
もう手遅れって感じもしますけど。
融資で乗り切れってことです。
それって単なる先延ばしじゃないですか。根本的な解決にはなりませんよ。
はい。解雇に走る会社は出てくると思います。
普通に考えたら元には戻らないです。
戻らないでしょうね。
なんだかんだ言って、雇用を減らして外注にするしかないと思う。
そういう会社は増えていくと思います。
休ませても給料は払い続けないといけないし。社会保険料は高いし、残業手当も増えるし。
それでいて社員は自由に辞めて行きますからね。
経営者が雇用というものを考え直すいい機会ですよ。
今回のコロナで気づいたんじゃないですか。
最後は誰も責任とってくれないし。国だって守ってくれないです。
最後は借金を返せなくなって自己破産するしかない。
社員は転職すればいいですけど。経営者はそうもいかないので。
社長も考えると思いますよ。自分の幸せって何だろう、何のために会社始めたんだろうって。
社長にも問題があると思います。社員を雇って仕事を割り振ってるだけなので。
ほとんどの経営者は付加価値を生み出す努力をやってないです。ただ仕入れて売ってるか、下請け的に仕事をこなしているか。
管理しとけば利益が出るという時代はもう終わったわけで。
ずっとそれで利益が出てきましたから。
まあそうですよね。付加価値をポンポン付け加えていく中小企業なんてなかった。
気合い入れて、でかい工場建てて、勇気があればなんとかなってました。
でも付加価値を生み出せない経営者はもう駄目ですよ。
経営の難易度が飛躍的に上がりましたから。
マネジメントの難易度も上がったし。「気合いと根性でやるんだー!」っていう時代はもう終わり。
サボらないよういチェックしてればよかったので。今それじゃ済まない。一生懸命やっても利益が出ないですから。
クリエイティブな経営をやらないと利益は出ないです。
経営者ってクリエイティブが苦手な人が多いんです。
ある意味クリエイティブと真逆なことをやってきましたからね。
とにかく人を増やして、時間管理して、コスト抑えて。それで利益が出たので。
雇用とか管理って、発想力のない人たちがやる経営手法ですよ。
手厳しいですね(笑)
じっさい雇用はクリエイティブじゃないです。
それはどういう部分が。
雇用されたい人って「自分では価値を生み出せない人」だから。
価値を生み出せる人は、雇われなくても生きていけますからね。
言われたことだけやって「決まった給料を受け取りたい」って人が会社員になる。
ポストコロナはそうなっていくでしょうね。
経営者はその事実を受け止めたほうがいいです。価値を生み出したいのなら社員に委ねないこと。
とはいえ経営者が自分で生み出すのも難しい。外部人の力を借りるという発想に変わってくると思う。
そうなるでしょうね。雇用するよりぜんぜん安いし。
プロジェクトにあった人を連れてくるのが経営者の仕事になる。
まずは組織の再編成ですよ。硬直化した正社員雇用じゃなく、もっと柔軟な組織をつくらないと。
正社員だから硬直化するんですか。
社員はどうしても出社することや、言われた作業をこなすことが目的になってしまうので。
タイムカードもあるし、上司が行動管理しますからね。
そういう環境ではクリエイティブ力なんて発揮できません。会社でやること決めて、給料決めて、働く時間と場所まで決めちゃうので。
自由にやらせないことにはクリエイティブな発想にならないと。
はい。雇用や管理とは真逆です。じっさい大企業はもうどんどん雇用を減らしてますし。
減らしてますね。
銀行だってどんどん人を採らなくなってる。大企業が人を採らないのに、中小企業はどんどん社員を雇用してる。
中小企業って労働集約型なので、人がいればやれる仕事はあるんですよ。
この先もずっと続くと思います?
「機械がやるより人がやったほうが安い」という仕事がある限りは。
でも、そういう仕事をなくすことが国の方針なんでしょ?
その通りです。だからだんだんなくなっていく。なくなったときに会社自体が失業する。
会社が失業?
「君の会社に頼む仕事はもう何もないよ」となる。
なるほど。会社も失業すると。じゃあそこにいる社員も当然失業しますね。
はい。ポストコロナは間違いなく人余りになると思います。
そもそも無駄な人材を雇いすぎなんですよ。
なんとなく「人が足りない」という雰囲気に飲まれてましたから。
赤字社員を増やしてもしょうがないんですけど。
赤字社員を採ってるという自覚がなかったと思う。黒字かどうかって営業マン以外は見えにくいので。
その曖昧な部分がコロナによって見えちゃった。
はい。いなくても業績が変わらない人がクッキリ見えてしまいました。
久野勝也
(くの まさや)
社会保険労務士法人とうかい 代表
人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。
事務所HP https://www.tokai-sr.jp/
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。