安田: たとえば日本人だったら、ひらがなを書けない人はいませんよね?
戸谷: いませんね。
安田: 同じぐらいの確率で、ほぼ全員がちゃんと描けるようになるっていうことですか?
戸谷: 実際になってます。一定の領域までは四角と人さえ描ければ、どうにかなります。
安田: コミュニケーションに使えるぐらいになると。
戸谷: たとえば私の祖母は、ひらがなを読めるんですけど書けなかった。
安田: へぇ~。
戸谷: 昔は、そういうことって結構あったんですよ。それは書方を習ってなかったから。
安田: 習ってなくても、読めるのなら書けそうですけどね。
戸谷: そう思うでしょ?でも実際は書けないんですよ。習わないと。
安田: スケッチもそれと同じ?
戸谷: まったく同じです。ひらがなレベルで描けるようになります。
安田: 今まで何人くらい、描けるようになったんですか?
戸谷: 簡易的なセミナーまで入れれば1,000人くらい教えましたけど、描けない人はいなかったです。
安田: それは凄い。
戸谷: もちろん一定のレベルまでですよ。何でも描けるようになるかと言ったら、それは無理です。
安田: どのくらいのレベルになるんですか?
戸谷: 四角と丸と人を描いて、色をつけて、ちゃんと説明できるぐらいのレベルにはなります。
安田: 言いたいことが伝わる程度には、描けるようになると?
戸谷: なります。
安田: そのレベルに到達するには、どのぐらいの期間が必要なんですか?
戸谷: 住宅会社さん向けの研修は、助成金の関係もあって20時間にしています。
安田: ということは普通の人は、人生で20時間も絵を描いてないってことですか?
戸谷: 正しく習って描いてない、ということですね。
安田: なるほど。
戸谷: たとえばゴルフのクラブを渡して、20時間テキトーに素振りしたからって、上手くならないじゃないですか。
安田: 確かに。でもそういう人が、ほとんどですけどね。
戸谷: レッスンプロに20時間、7番アイアンを習うことをイメージしてみてください。
安田: かなり上手くなりそうですよね。
戸谷: スケッチに関しては、3時間もあればかなり上達します。
安田: 3時間やれば「描けない」と思ってた人が、「自分は描ける」ぐらいになれますか?
戸谷: 人と箱でシーンが描ける、人を2人描けばコミュニケーションの様子も描ける。そのくらいには、なりますね。
安田: へぇ~。ちょっと、やってみたくなりますね。
戸谷: 1日あれば、人物やシーンはかなり描けるようになります。難しいのは、頭の中にあるものを紙に描くという行為。
安田: 頭の中にあるものを、スケッチするってことですか。
戸谷: そう。たとえば「うちの会社に入ったら、こういうスキルアップができて、将来こうなれます」みたいなスケッチ。
安田: それを絵にするには、結構時間がかかる?
戸谷: はい。そこまで行くには、やっぱり10〜20時間かかりますね。
安田: そこまで行けば商談で「うちの商品を使ったときに、現場でこういうことが起こる」っていうのを、ちょっとした絵にしてあげられる?
戸谷: はい。一枚の絵にできるようになります。
安田: それは、かなりのアドバンテージですね。
戸谷: お客さんとの会話も盛り上がりますし、ホワイトボードの前に立つのも怖くなくなる。
安田: みんなの前で説明するのは、緊張しますもんね。
戸谷: 丸と四角と人が描ければ、どっと盛り上がります。
>>>次回は、文字にはない絵のインパクト