第139回 外国人労働者が減った日本の行く末は?

この対談について

株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。

第139回 外国人労働者が減った日本の行く末は?

安田
鈴木さん、最近、日本に出稼ぎに来る外国人が減っているってご存知ですか?

鈴木
あぁ、聞いたことがありますね。日本はもう昔みたいに稼げる国じゃなくなったとか。
安田
そうですそうです。今や、日本に比べてシンガポールや台湾、韓国の方が賃金が高くなっているんで。優秀な外国人労働者は、そちらの国々に行きたがるみたいです。

鈴木
なるほどなぁ。無理やり引っ張ってこようとすると、労働者の質も下がるでしょうし。難しいところですね。
安田
そうなんですよ。だから、「日本に入ってくる外国人への規制をもっと強くしろ」なんて世の中では言われてますけど、規制なんてしなくてもそのうち来なくなるんじゃないかと思っていて(笑)。

鈴木
笑。まぁ、来日目的が変わってきているんでしょうね。投資とか観光目的で来日する外国人は減っていないわけだから。「労働目的」の外国人にとっては、日本はもう魅力が薄れた国になってしまったんでしょう。
安田
ええ。一方アメリカなんかは、優秀な人材をどんどん受け入れるための仕組みが整っている。実際、外国からやってきた人が、後にアメリカを代表するようなすごい会社を作ったりしているわけで。

鈴木
うーん、ただそれも、国自体は豊かになっているけど、現場の労働者の人たちにはそんなに恩恵はないんじゃないですかね。そのツケが、今のアメリカ国内のごたごたを引き起こしているような気もするな。
安田
あぁ確かに。

鈴木
優秀な人材を外国から引っ張ってくるのは、短期的に見ればいいのかもしれないですけど、中長期視点で考えるとどうなんだろうなと。
安田
ちなみに私はアメリカで何年か過ごした経験がありますが、改めて思うのが「現場の労働力」として見た時に、日本人って本当に優秀だということなんです。勤勉だし、基礎学力も高いし。

鈴木
ふーむ、ずっと日本にいる僕なんかからすると、正直そこまでピンとは来ないんですけどね。そんなに違うものですか。
安田
全然違いますよ。アメリカは読み書きできなかったり、足し算引き算ですら怪しいような人がゴロゴロいるんですよ。それに比べると、日本人の教育水準は世界的に見てもかなり高いんです。

鈴木
そうか、「平均値」が高いわけか。
安田
そうですそうです。しかもマナーやモラルもあるし、上から言われたことは一生懸命納期を守ってやり遂げようとするじゃないですか。だから私は、経営陣さえ優秀な人を呼べれば、日本の会社は軒並みV字回復していく気がするんです。

鈴木
日産ゴーンさんが来たときみたいに?
安田
そうそう。結局、日産も日本人幹部に戻ってから業績ガタ落ちでしたからね。そういった側面も踏まえて、鈴木さんは今後、日本はどういう方向性で進んでいくべきだと思われますか?

鈴木
どうなんやろうなぁ…。もうこれから先、人口が増えることはないわけで。そうなったら国民1人あたりの生産性を上げて、1人ひとりが豊かになることが必要なんじゃないかな。
安田
国全体のGDPを増やすのではなく?

鈴木
そうそう。で、それに伴って、日本的な「新しい豊かさの基準」を作っていけばいいと思います。
安田
なるほどなるほど。

鈴木
今の日本には、禅の言葉で言うところの「足るを知る」という考え方が求められているんじゃないでしょうかね。求めすぎてもキリがないってことに気づくことが大切なんですよ。
安田
自分自身の中に「幸せ」とか「豊かさ」の基準を持つことが大事だというわけですね。いや〜今回も興味深いお話をありがとうございました!

対談している二人

鈴木 哲馬(すずき てつま)
株式会社濃飛葬祭 代表取締役

株式会社濃飛葬祭(本社:岐阜県美濃加茂市)代表取締役。昭和58年創業。現在は7つの自社式場を運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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