泉一也の『日本人の取扱説明書』第45回「天災の国」

天災は、誰をも責めることはできない。この「陰」な出来事に対して、被害者になれないのだ。人々は「仕方がない」と受け入れ、「前を向いて生きるしかない」とあきらめる。もし被害者として生きれば、そこに待っているのは孤立だと知っている。騒音おばさんが分かりやすい例だろう。被害者だと主張しているが、騒音で周囲を攻撃する加害者になっている。被害者ヅラした加害者はタチが悪い。誰も近づきたくない。だから孤立するのだ。孤立すると協力関係が生まれないから「豊かさ」からどんどん遠のいていく。

隣の国では、被害者的な姿勢が大衆に根付いてしまい、政治のトップも司法のトップもその被害者の氣に巻き込まれている。もし被害者のあり方を否定しようものなら、攻撃をされるのがオチである。誰も止める人がいないから、世界にその被害者的あり方を発信し続けることになる。次第に世界から孤立していくだろう。

日本は天災大国だからこそ「あきらめ」を学び、主体者としての生き方を何世代にもわたって学んできた。日本が世界から人氣があるのは根底に「主体者」があるからだ。最近は、極端なクレームモンスターが出没し、天災ですら役所が悪い、学者が悪いと被害者になる姿が散見されるようになった。対岸の火事ではない。日本もお隣の国のように、侵食されてきたのだ。

最後に、予言しておこう。

「人の心が乱れしとき、必ずや天災は起こるのじゃ」

著者情報

泉 一也

(株)場活堂 代表取締役。

1973年、兵庫県神戸市生まれ。
京都大学工学部土木工学科卒業。

「現場と実践」 にこだわりを持ち、300社以上の企業コーチングの経験から生み出された、人、組織が潜在的に持つやる気と能力を引き出す実践理論に東洋哲学(儒教、禅)、心理学、コーチング、教育学などを加えて『場活』として提唱。特にクライアントの現場に、『ガチンコ精神』で深く入り込み、人と組織の潜在的な力を引き出しながら組織全体の風土を変化させ、業績向上に導くことにこだわる。
趣味は、国内外の変人を発掘し、図鑑にすること。

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