結婚相手を選ぶとき、
損得だけで決める人がいるだろうか。
もちろん、経済力や、生活力、
人としてのまともさは、重要である。
だが、やはり、優先順位の第一位は
「好きな相手であること」ではなかろうか。
これは何も、きれいごとで言っているのではない。
どんなにお金があっても、どんなに立派な人でも、
自分が好きになれない人と暮らし続けることは容易ではない。
ましてや結婚である。
相手の子供を産み、寝食を共にし、一緒のお墓に入るのだ。
損得だけで割り切れるほど、人間は論理的な生き物ではない。
もちろん、ただ好きなだけでも、結婚生活は続かない。
酷い浮気性だったり、生活力が全くなかったり、
犯罪を犯すような人とは、別れざるを得ないだろう。
だがそれは、あくまでも必要条件であって、十分条件ではない。
浮気をしない、生活力がある、犯罪者ではない、
という理由だけで、結婚出来るものではない。
やはり優先順位の第一は、好きな相手であること。
そして第二が、生活力のある、まともな相手であること。
実際、多くの人は、たとえ無意識であるにせよ、
そうやって相手を選んでいるはずだ。
まず、好きな相手とおつき合いし、
その人が経済的、人間的に問題が無ければ、
結婚相手としてふさわしいと考えるようになる。
誰が、どう考えても、
その順位で選ぶのが、健全な人生というものである。
では仕事選びはどうだろうか。
仕事と結婚とは違う。
仕事に好き嫌いや、感情を持ち込んではならない。
まず、お金を稼げる仕事であること。
そして安定した仕事であること。
それが大前提だと考えている人が、とても多い。
なぜならば、働くことは生きていくための手段であると、
思い込んでいるからである。
確かに、お金がなければ生きていくことは出来ない。
だがそれは、結婚生活においても同じはずだ。
結婚の目的は、経済的に破綻しない生活をすることではない。
好きな人と生きていくこと。
そのために、経済力が必要なのである。
仕事も同じではなかろうか。
好きな仕事をすること。
人に喜ばれる仕事をすること。
だがそれを続けていくためには、稼ぎや安定が必要となる。
稼ぐために働くのではなく、
好きな仕事をするために、しっかりと稼げるようになる。
それが健全な生き方というものである。
つまり仕事を選ぶ時の優先順位は、
第一に好きな仕事、やりたい仕事であること。
第二に、しっかりと稼げて、安定した仕事であること。
結婚も、仕事も、よくよく考えれば、
優先順位は同じなのである。
なぜなら、結婚することも、仕事をすることも、
人生を楽しむための手段に過ぎないからだ。
そんなきれいごとでは、生きていけない。
そう反論したい人もいるだろう。
確かに、安定した生活を手に入れることは簡単ではない。
だがその安定は、何のためにあるのだろうか。
安定なるものと引き換えに、
「好きや楽しい」を簡単に差し出してはならない。
それは人生で最も大切にするべき、第一の優先順位なのである。
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