法律では二十歳を過ぎれば成人である。
酒が飲めるし、タバコを吸えるし、
公営ギャンブルもできる。
親の承認なく結婚ができるし、
ローンを組むこともできる。
選挙権に関しては十八歳にまで引き下げられた。
つまり法的な大人の境目がここにあるということだ。
では社会人についてはどうだろう。
選挙に参加できるならもう
社会人であると言えるだろうか。
いやいや社会人は二十歳を過ぎてからだろう。
自立して生活してこそ社会人だ。
しっかり稼いで税金を納めて、
初めて社会人といえる。
などなどその境目は人によって違う。
だがここに暗黙の了解のような
ひとつの指標がある。
あなたはもう立派な社会人よ。
周りにそう認めてもらうためのひとつの基準。
それが就職なのである。
しっかりとした会社の社員になること。
あるいは国や地方の公務員になること。
誰もが認める社会人の境目がここにある。
毎朝出勤する場所があり、与えられた仕事があり、
毎月きちんと報酬が振り込まれる立場。
これこそが誰もが認める社会人、
言わばプロ社会人の姿である。
ではプロとは呼べないアマチュア社会人とは
どのようなものか。
たとえば週に2日しか仕事をしない
パートタイマーや大学生のアルバイト。
日雇い労働や、稼げない劇団員、フリーター、
顧客のいないカウンセラーなどなど。
安定した立場と約束された収入が、
プロとアマチュアを分ける境界線なのだ。
ここに大きな違和感が生まれる。
プロとは果たしてそのようなものなのかという違和感。
あなたは感じないだろうか。
野球で金を稼いでいるのがプロ野球選手。
野球では金を稼げないのがアマチュア。
その定義に異を唱えるつもりはない。
だがその根底には暗黙の了解がある。
すなわちアマチュアより野球がヘタな
プロはいないという事実である。
だが社会人はそうではない。
まったく利益に貢献できない。
給料に見合う仕事ができない。
そのような社会人はプロと言えるのだろうか。
学校にも行かず、動画を投稿しているだけで
大金を稼ぐ小学生がいる。
ゲームが上手いだけで大金を稼ぐ高校生もいる。
当然のことながら税金も納めている。
だが重要なのは金ではない。スキルだ。
たとえば接客スキルが低い正社員と
接客スキルが高い主婦。
アイデアのカケラもない正社員と
発想力が豊かな高校生。
どちらがプロと言えるのだろうか。
肩書きでプロを名乗れる時代は
もう終わろうとしている。
尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスとコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)