広告が効かない、営業されたくない、
自分で見つけて自分で決めたい。
それが今の消費者トレンドである。
では何もせずにただ待っていればいいのか。
残念ながらそれでは店も会社も潰れてしまう。
広告を出さず、営業もせず、
顧客に見つけてもらって、顧客に選んでもらう。
そこにこそ練りこまれた戦略が必要なのである。
まず顧客はどうやって「自分で見つける」のだろうか。
ひとつには検索である。
「こういうものが必要だ」と思った瞬間に
彼らは検索を開始する。
どの商品を選べば一番役に立つのか。
どの店で買えば一番お得なのか。
無数の比較対象の中から選ばれるには
「価格優位性と利便性」が欠かせない。
即ちそれは同業他社との削り合いである。
そこで着目するのが二つ目の視点だ。
顧客が見つけるもうひとつの場所。
それがSNSである。
知り合いから流れてくる面白そうなニュース。
興味深い商品やサービス。
行ってみたくなるお店。
広告ではなく、誰かの「これってよくない?」
という感性によってたどり着いた情報。
その偶然の出会いが誰かの「欲しい」を刺激する。
ではこの偶然の出会いに
「自社の商材」を潜り込ませるにはどうすればいいのか。
その答えのひとつが違和感である。
「何だこれ?」という違和感に遭遇すると、
人は思わず立ち止まる。
立ち止まる数秒間に「ほほう!」「なるほど!」
「面白い!」という反応を起こさせる。
すると彼らはその体験を誰かに伝えたくなる、
教えたくなる、広めたくなる。
つまりはリツイートしてくれるのである。
数ある情報の中で立ち止まってもらうための違和感。
誰かに教えたくなる面白さ。
そこには絶妙なバランスが必要なのである。
違和感とは即ち「何か変だぞ」という信号だ。
つまり何かが異常でなくてはならない。
異常さが足りないと気がつかないまま通り過ぎてしまう。
そして異常すぎると理解されないまま放置されてしまう。
あるいは嫌悪感を持たれてしまう。
思わず足を止め、なるほど!と膝を打ち、
誰かに教えてやろうとリツイートしたくなる。
アンバランスでありながらも
単なるアンバランスではない。
バランスが取れていながらも単なるバランスでもない。
言うなれば絶妙なるアンバランスのバランス。
この調律こそが戦略の決め手となる。
その異常さはどの程度の異常さなのか。
正常なるマーケティングは、
計算され尽くした異常の上に成り立っている。
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