シン社長の時代

とことん拡大してスケールメリットで収益率を高めていくか。とことん縮小してめちゃくちゃ儲かるスモールビジネスをやるか。どちらかに振り切らないと一人当たりの収益が最大化されない。収益を最大化させられない会社は社員の給料を増やせない。その結果、人不足で事業が立ち行かなくなっていく。

どちらを選ぶのかは経営者の自由だが、拡大して生き残っていける会社は1割にも満たないだろう。つまり9割以上の経営者は縮小&高収益型ビジネスモデルを目指すほかないのである。ではめちゃくちゃ儲かるスモールビジネスに必要な要素とは何だろうか。突き詰めて考えればそれは3つに集約される。

1:ターゲットを絞り込み価値を最大化したビジネスのアイデア。2:能力と行動力を伴った少数精鋭人材の確保。3:少数精鋭人材が辞めない何らかの仕組み。実はこれらの要素は三位一体である。一見難しそうに見えるビジネスアイデアだが、属人的な要素を入れることでアイデアの幅はぐっと広がる。

この人が提供するサービス。この人が開発に携わった商品。この人が分かりやすく紹介する動画。そういう属人的な要素が付加価値を生み出し、安売りしなくても喜んで買ってもらえるビジネスが生まれる。だが属人的であるが故に、その価値を発揮できる人材の確保と辞めずに続けてくれる仕組みが必須だ。

そもそも人不足で苦労しているのに、どうやってそんな人材を確保するのだ。定着で苦労しているのにどうやってそんな仕組みを作るのだ。そう思われるのではないだろうか。まさにそこがイノベーション・ポイントなのである。私のオススメは社長の仕事を根本から考え直すこと。シン社長へと進化すること。

例えば5人のスモールビジネスを考えるとき、これまでの常識なら5人を雇用しようとする。そうではなく5人で会社を運営するのである。5人全員が株主であり取締役である会社。5人全員がリスクを負い資金も労力も提供する組織。5人で大儲けして5人で山分けする。採用や定着という先入観を捨てる。

人を雇用して組織を作り、自分だけがリスクを負って自分だけ大儲けする。これが今までの社長。夢を語って仲間を集め、みんなでリスクを負ってみんなで儲ける。これがシン社長。どちらが儲かるか。どちらが合理的か。どちらが楽しいか。どちらがストレスなく生きていけるか。ぜひ考えてみてほしい。

 

 

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