一家に一台、消防車は必要だろうか?一家にひとりの警察官や裁判官はどうだろう。ないと困るけれども家ごとには要らない。そういうものはみんなでシェアすればいい。好きな本を手元に置いておくこと。好きな絵画をリビングに掛けておくこと。それはとても素敵なことだが置ける量には限界がある。
みんなでたくさんの本をシェアする。みんなで素敵な絵画をシェアする。それが図書館であり美術館である。シェアすることで社会は豊かになり、一人ひとりの暮らしも豊かになっていく。よほどの大金持ちでもない限り自前の図書館や美術館は作れないし、作る必要もない。そう思わないだろうか。
では中小企業にとって自前で所有しなくてはならないものは何だろう。立派な自社ビルを建てるのもいいが、みんなでシェアするオフィスも悪くない。みんなで観葉植物を育て、みんなで受付を雇い、みんなで会議室をシェアすればいい。社長秘書も、快適なオフィスを作る総務も、みんなで雇えばいい。
目的は所有することではない。いかに快適な環境を作るか。いかに効率よく運営するか。そこから逆算すればシェアに行き着く。シェアすることでみんなのオフィスは快適になり、みんなの秘書やみんなの総務は待遇がグッとよくなり、いつもにこやかな雰囲気になり、それぞれの会社はコストを削減できる。
どの会社でも必要な仕事やどの会社にも存在する部署。それはシェアに適している。どうやって自社に囲い込むかを考えるのではなく、どうやったら他社とシェアできるかを考える。これが人不足時代に求められる発想である。持たなくていいものは持たない。雇わなくていい人は雇わない。これが鉄則だ。
どんどん手放し、どんどん縮小し、本当に必要な仕事、他社にはない部署のみに絞り込む。残った部署と仕事に特化して人を募集し、スペシャリストとして育成し、得意分野をどんどん深掘りする。時間と共にその人が、その部署が、そして会社がブランド化していく。無理なくオンリーワン企業が出来上がる。
すべては発想の切り替えにかかっている。自社ですべて抱えることをやめる。まず経営トップがこれを決断する。どんどん雇用を減らし、どんどん外部に発注し、コアの中のコアだけを磨き続ける。顧客ターゲットも絞り込み、価格を最大限に引き上げ、コア人材の待遇をどんどん良くする。未来は180度変わる。
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