管理型中小企業の終焉

全社で掲げる目標を部署ごとに分け、さらにスタッフごとに細かく分け、その目標を達成するためのアクションプランを作り、そのプランを忠実に守るために行動管理を徹底する。これで利益が出ないはずがない。実際この通りの経営で何年も黒字を続けている会社が存在する。ではこの先も継続可能なのか。

業界トップの大企業や中堅企業なら問題なく継続していくだろう。だが普通の中小企業がこの経営スタイルを貫くことは難しい。なぜなら人が集まらないからである。トップダウンで目標と行動管理を徹底し、最大化した利益で最大の報酬を支払う。これが管理型ビジネスモデルの基本である。

管理を徹底すれば必ず利益は最大化される。それはその通りである。しかし最大化した利益がどの程度になるかは企業規模でほぼ確定してしまう。大きな会社になるほど一人当たりの利益は大きく、小さな会社になるほど一人当たりの利益は小さい。人不足時代はこの差がそのまま企業の生存率に直結する。

同地域、同業界、同規模の会社の中でいちばん報酬が高い。人不足になる前ならこれは十分条件だった。真面目な人材が集まり、それなりに良い報酬を支払い、徹底した管理経営によって最大の利益が残せた。だが人不足時代になるとそれでは足りないのである。残念ながらこれではもう人を繋ぎ止められない。

人不足になればなるほど労働者は一人当たりの利益が大きい会社に集中する。この流れはもう止められない。そしてどんなに管理を徹底しても最終的にはスケールメリットに勝てないのである。管理型経営を貫くなら何がなんでも業界トップの規模まで拡大すること。これが生き残るための必要条件だ。

ではそこまで規模を拡大できない会社はどうなるのか。残念ながら管理型の中小企業は生き残れないだろう。黒字の間は報酬アップに応えられるが必ずどこかで壁にぶつかる。これ以上は報酬を増やせないという限界が労働力を繋ぎ止める限界となる。労働力がなければ管理型企業は利益を上げられない。

人を雇って事業を行うのなら一人当たりの利益で大企業に並ぶこと。これはもう必須である。規模を追及しないのなら管理型経営は持続不可能なのだ。無駄をなくす管理型ではなく、無駄を付加価値に変える付加価値創出型経営。中小企業の90%以上がこちらに舵を切るべきなのは明白である。
 

 

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